概要
オランダのデータ保護当局(Autoriteit Persoonsgegevens、AP)は、Uberがアルゴリズムによる自動判断でドライバーのアカウントを停止していた仕組みについてGDPR(EU一般データ保護規則)違反を認定し、約8億2500万ユーロ(約9億6600万ドル)の制裁金を科した。これはGDPR施行以来2番目に高額な制裁金で、過去最大はMeta社に科された12億ユーロの罰金となる。AP副会長のMonique Verdier氏は「コンピュータが独断で、これほど大きな影響を及ぼす決定を下すべきではない」と述べ、自動化システムのみによる重大な決定の危うさを強調した。
違反の内容
問題となったのは2020年から2022年にかけての運用で、Uberは不必要な迂回ルートの使用や乗車完了の意思がないと判断された場合など、不正の疑いがあるとされたドライバーに対して自動化システムでアカウントを停止していた。AP当局は、Uberが十分な警告や人間による監視を伴わずにこうした停止処分を下していた点を問題視し、「自動意思決定の対象とならない権利」および「被告知の権利」を侵害したと指摘した。GDPRは、生活に重大な影響を及ぼす自動化された意思決定については、人間による審査を経ることを義務付けている。
経緯
この事案は、2019年にアカウントを停止されたフランス人ドライバーのBrahim Ben Ali氏が声を上げたことに端を発する。同氏は他に約170人のドライバーから証言を集め、オランダで当局に訴えを提起した。今回の制裁金決定は、この申し立てを受けた調査の結果として下されたものである。
Uberの反応と今後の見通し
Uberはこの決定に強く異議を唱えており、大多数のアカウント停止は一時的なものであり、永続的な停止に至る際には人間による審査を実施していると主張している。同社はまた、ドライバーには停止処分に対して異議を申し立てる機会が用意されているとも説明している。Uberは「この決定と、それに不均衡な罰金に強く反対する」との声明を出し、上訴する方針を明らかにした。一方、ドライバー支援団体PersonalData.io創設者のPaul-Olivier Dehaye氏は、補償を求める集団訴訟を計画しているとされる。欧州の規制当局による米国テック企業への大型制裁金は今後も続くとみられるが、長期にわたる上訴プロセスの中で罰金額が減額されたり、決定自体が覆される可能性も残されている。