概要
Mozillaは8月18日、デスクトップ版Firefoxの最新安定版「Firefox 154」を公開した。今回のアップデートでは、WebSocket接続を悪用したローカルネットワークへの不正アクセスを防ぐ保護機能の拡張や、AIによるタブグループの自動提案、Cookie管理の柔軟化など、プライバシーと利便性の両面で改善が図られている。なお、Firefox 154は月次リリースとしては最後のバージョンとなり、9月からはFirefox 155を皮切りに2週間サイクルでのリリースへと移行する。
主な新機能
セキュリティ面では、これまでHTTP/HTTPSリクエストに限定されていたLocal Network Access保護がWebSocket接続にも拡張され、Webサイトがローカルネットワーク上のデバイスへWebSocket接続を試みる際に、ユーザーの許可を求めるようになった。ルーターやIoT機器など、外部からアクセス可能なローカル機器を悪意あるWebサイトから守る狙いがある。あわせて、Cookie削除の対象からトラッキング保護は維持したまま特定サイトを除外できるようになり、プライバシー設定の柔軟性が向上した。
利便性の面では、Smart Window機能の一部として、関連するタブをAIがグループ化し、グループ名まで自動で提案する機能が段階的に展開されている。タブグループ機能自体にも改善が加えられた。またアドレスバーからワンクリックでAI関連設定にアクセスできる「Manage AI」クイックアクションが追加されたほか、動画のシーク処理が高速化され、PDF内のテキスト選択・ハイライトも改善されている。Windows版ではNVIDIA GeForce NOWに対応し、ブラウザ上で対応ゲームをストリーミングできるようになったほか、アプリアイコンをカスタマイズする機能も加わった。
技術的な詳細
開発者向けには、CSS関連の新機能が複数追加された。要素の兄弟要素数を返すsibling-count()関数と、兄弟要素内での位置を返すsibling-index()関数がサポートされたほか、ブロック方向のテキスト余白を制御するtext-box-edge・text-box-trimプロパティおよびtext-boxショートハンドにも対応した。さらに、CSSの値を型付きJavaScriptオブジェクトとして扱えるCSS Typed Object Model APIがNightly版でデフォルト有効化され、CSSプロパティの操作を簡素化する取り組みが進められている(安定版では実験的機能としてlayout.css.typed-om.enabledの手動有効化が必要)。このほか、JSON Viewerでは選択したエントリの階層位置をパンくずリストで表示できるようになり、ページのハードリロード時にファビコンのキャッシュも合わせてクリア・更新されるようになった。
macOSではウィンドウが非表示になる不具合、Windowsではタスクバーの自動非表示に関する問題、フルスクリーンでのPicture-in-Picture表示順序、垂直タブサイドバー使用時のフルスクリーンモードでの非表示、PDF印刷プレビューの不具合など複数のバグ修正に加え、セキュリティ上の問題も複数解消されている。
今後の展望
Mozillaは今回のFirefox 154を最後に、月次リリースサイクルを終了する。9月1日にはFirefox 155が公開され、以降はFirefox 156(9月15日)、Firefox 157(9月29日)と、2週間おきのリリースへ移行する予定だ。Mozillaはこの変更を実験的な試みと位置づけており、リリース品質や開発者の負荷、ユーザー体験への影響を見極めたうえで恒久化するかどうかを判断するとしている。新機能をより頻繁に届けられるようになる一方、短期間での品質担保が今後の課題となりそうだ。