概要

中国・杭州拠点のヒューマノイドロボット企業Unitree Roboticsが8月19日、上海証券取引所のハイテク企業向け市場「STARマーケット」に上場した。公開価格150.80元に対し、取引開始直後には一時629%高となる1,100元まで急騰。その後やや値を戻したものの、終値は845元で公開価格比460%高という驚異的な上昇率を記録し、時価総額は約3,420億元(約660億ドル)に達した。この上昇率は2026年の中国企業IPOにおける初日平均上昇率279%を大きく上回るものだった。同社はIPOで4,045万株を売却し、約61億元(約9億500万ドル)を調達している。なお、この日はSTAR市場指数が7.2%、上海総合指数も2.4%下落する軟調な相場環境だったにもかかわらず、Unitree株の独歩高が際立った。

資金調達と株主への影響

株価急騰により、創業者で36歳の王興興氏の保有株(1億2,140万株)の評価額は約1,030億元に達し、一躍中国屈指の富豪となった。フードデリバリー大手Meituanは8.7%の株式を保有しており、その持ち分価値は当初投資額の約70倍に膨らんだとされる。このほか、AIスタートアップのDeepSeekが約1億4,080万元を出資していたことや、Tencentも以前から株式を保有していたことが明らかになっている。有力IT企業やAI企業が早期から出資していた点は、Unitreeが単なるロボットメーカーにとどまらず、中国のAI・ロボティクス産業の中核的存在と見なされていたことを示している。

業績と製品ラインアップ

Unitreeは二足歩行のヒューマノイドロボットと四足歩行ロボットの双方を手がけており、これまでにヒューマノイドロボットを5,000台以上出荷している。2025年の売上高は17.0億元で、前年の3億9,277万元から大幅に増加し、純利益は2億7,821万元を計上した。海外売上は主力事業収益の44%を占めており、グローバル展開も進んでいる。同社は最近、2メートルの跳躍力と最高時速12.66メートル毎秒の走行性能を持つ新型ロボット「Superman」を発表するなど、TeslaやBoston Dynamicsといった競合他社と技術面でしのぎを削っている。

背景と今後の見通し

今回の上場は、北京で開催された中国最大級のロボティクス業界イベント「世界ロボット会議」の開催時期と重なった。また、米国が外国製ロボティクス製品に対する貿易規制を強化しつつある局面での上場でもあり、中国が自国のロボティクス産業育成と資本市場での存在感拡大を急ぐ姿勢がうかがえる。急激な株価上昇は投資家の高い期待の表れである一方、短期的な過熱感への警戒も残る。Unitreeが今後、量産体制や海外展開をどこまで拡大できるかが、株価と業績の両面で試金石となりそうだ。