概要
AWSは8月18日、EU-CENTRAL-1リージョンのAWS Direct Connectで発生していた通信障害が完全復旧したと発表した。障害は8月14日午後7時33分(PDT)頃、フランクフルトのEquinix FR5拠点に接続するDirect Connect回線でパケットロスが増加する形で始まった。AWSのエンジニアは同日中に自動的に対応を開始したが、原因究明と復旧作業は4日間に及んだ。単一のデータセンター拠点における物理的な設備障害が、クラウド接続サービスに数日単位で影響を及ぼしうることを改めて示す事例となった。
障害の経緯
原因はEquinix FR5拠点の共用スペースへの浸水だった。水がネットワーク機器の冷却系統に影響を与えたことで機器が過熱・停止し、さらに電源分配設備にも浸水の影響が及んだことで、ネットワーク機器への給電自体が失われた。復旧作業では、施設内の環境条件が安定するまで安全に機器へアクセスできない状態が続いたため、初動対応が遅れた。8月14日夜の障害発生後、AWSはEquinix施設側と連携しながら電気系統の絶縁処理や機器点検を進め、8月16日時点でも早期の全面復旧は見込めない状況が続いた。転機となったのは8月17日で、交換用ハードウェアが搬入されて段階的な復旧作業が始まり、同日夕方には大部分の機器が復旧するなど広範な回復の兆しが見られた。8月18日未明に「大幅な回復」が確認され、その後まもなく障害は完全に解消された。
影響と教訓
今回の障害で影響を受けたのは、Equinix FR5拠点のみにDirect Connect接続を持つ顧客だった。複数拠点にまたがる冗長構成を組んでいた顧客への影響は限定的だったとみられる。AWSは障害対応中、影響を受けた顧客に対してVPN経由へのフェイルオーバーを暫定策として推奨していた。今回のケースは、クラウド事業者側のネットワークが健全であっても、コロケーション施設の物理的な設備トラブル(浸水や空調・電源障害)が接続サービス全体を数日間にわたって停止させ得ることを示している。単一拠点への接続のみに依存する構成は、地理的・設備的な単一障害点となり得るため、重要なワークロードでは複数のDirect Connect拠点やVPNなど代替経路を組み合わせた冗長設計の重要性が改めて浮き彫りになった。