概要

Anthropicの年換算売上高(ARR)が650億ドルを突破したことが明らかになった。2025年末時点の約90億ドルから7倍以上に急拡大しており、直近3か月だけでも約470億ドルから180億ドル積み増す形で650億ドルに到達したという。同社はこの勢いを背景に今秋、早ければ10月にもIPO(新規株式公開)を実施する計画で、モルガン・スタンレーを主幹事証券に、投資家との面談を進めている段階にある。市場ではIPO時の評価額が2兆ドル規模に達する可能性も取り沙汰されており、実現すれば史上有数の巨大テック上場となる見通しだ。

急成長を支えるインフラ投資

Anthropicの急成長を支えているのが、大手クラウド事業者との大規模な計算インフラ契約だ。Amazonとは「Project Rainier」と呼ばれるインダイアナ州のデータセンター建設で約110億ドル規模の契約を結び、Trainium 2チップを約50万個導入、将来的には100万個規模への拡張を見込む。Googleとも提携し、最大100万個のTPUへのアクセス権を確保、2026年中に1ギガワット超の電力容量を稼働させる計画だ。さらにGoogleとBroadcomとの追加契約により、2027年には次世代TPUで3.5ギガワット分の容量を追加する予定となっている。Anthropic自身も米国内の計算インフラに500億ドルを投じる方針を表明しており、需要に供給が追いつかない状況の中で積極的な先行投資を続けている。

収益性とIPOに向けた展望

API事業の粗利益率は80%を超える水準にあると報じられており、収益性自体は高い。ただし、データセンターへの巨額投資が先行することで、2026年後半には利益率が一時的に低下する可能性も指摘されている。Anthropicは2028年までに年間売上高2000億ドル規模への到達を見込んでおり、IPOに向けたS-1目論見書の提出はロードショー開始の15日以上前になる見通しだ。OpenAIなど競合他社との資金調達競争が激化する中、旺盛な需要に支えられた今回の急成長は、AI業界全体の投資熱がなお衰えていないことを裏付ける材料としても注目されている。