概要

Nvidiaは、ソフトバンクグループ傘下でデータセンター・電力インフラを手がけるSB Energyに15億ドルを出資し、オハイオ州で建設が進むOpenAI向け大型データセンター「PORTS-Pike Technology Campus」のAIコンピュート基盤を独占的に供給する提携を発表した。当初、The Informationの報道をもとにCNBCなどが伝えたところでは、Nvidiaは最大30億ドルの出資を検討しており、契約締結時に半額、SB EnergyのIPO実施時に残り半額を支払う案が浮上していた。その後8月17日にNvidia・SB Energy・OpenAIの3社が正式に提携を発表し、出資額は15億ドルに確定した。

出資の経緯と支援内容

報道によれば、Nvidiaは出資に加えて、土地取得・電力確保・建屋(シェル)建設に対する信用支援も提供する。当初はオハイオ州プロジェクト向けに最大1,050億ドル規模の信用枠を用意する案が伝えられていたが、その後Wall Street Journalの報道では、当初計画されていた2,500億ドルから縮小し、1,200億ドル未満の保証にとどめる方向だと報じられている。SB Energyはソフトバンクグループおよび顧客であるOpenAIからも出資を受けており、2019年設立の同社は早ければ9月にも新規株式公開(IPO)を計画し、調達額は50億ドル以上になる見通しとされている。なお、ソフトバンクは以前58億ドル相当のNvidia株式を保有していたが、2025年11月に売却済みである。

データセンターの規模と地域への影響

PORTS-Pike Technology Campusは、オハイオ州パイク郡にある米エネルギー省所有の旧ウラン濃縮施設(ポーツマス・ガス拡散プラント)跡地に建設される。初期段階で4.25ギガワット、将来的には最大8ギガワットまで拡張可能な規模を計画しており、OpenAIはまず4.25IT-GW分の容量を利用する予定で、NVIDIAには残る3.75IT-GW分を追加確保するオプションがある。電力供給のためSB Energyとソフトバンクは9.2ギガワット規模の天然ガス発電所を含む10ギガワット超の新規発電設備を建設する計画で、建設費は330億ドル規模になる見通し。施設は2028年以降、段階的に稼働を開始する予定だ。地域社会向けにはSB Energyが4,000万ドル、OpenAIが4,000万ドルを上乗せしたコミュニティ基金(総額8,000万ドル)を設立し、数万人規模の雇用創出が見込まれている。

背景と今後の見通し

Nvidia CEOのジェンスン・フアン氏は「AI自体がインフラストラクチャーとなりつつあり、土地・電力・建屋の確保が極めて重要になっている」と述べ、チップ製造にとどまらず物理インフラへ投資領域を広げる戦略的な狙いを強調した。OpenAI側も、数百万人がAIを活用できる大規模拠点になるとの期待を示している。一方で、天然ガス発電プラントの建設費はここ2年で66%上昇しており、複数の巨大データセンターが同時期に稼働すれば天然ガスの需給が逼迫し、一部地域で価格が3倍に高騰する可能性も指摘されている。AIインフラ需要の急拡大を背景に、Nvidiaのような半導体大手が電力・データセンター事業に直接資本を投じる動きは今後さらに広がる可能性がある。