概要

Modular(LLVMとSwiftの開発者であるChris Lattner氏が率いる、Qualcommによる買収を経た企業)は8月18日、AI・高性能計算向けプログラミング言語Mojo🔥のコンパイラおよびツールチェイン全体を、Apache 2.0ライセンス(LLVM例外付き)でオープンソース化したと発表した。ソースコードはGitHubの「modular」リポジトリで公開されている。先週リリースされたMojo 1.0のソース安定版に続く動きで、2023年5月以来Modularが約束してきたオープンソース化がここで実現した。標準ライブラリはすでに2024年に公開済みだったが、コンパイラを含む言語全体の公開は今回が初めてとなる。

技術的な詳細

ビルドプロセスにはBazelが採用されており、./bazelw run --config=build-mojo KGEN:mojo -- run hello.mojo という単一コマンドでコンパイルおよび実行ができる。開発者は標準ライブラリの修正やテストの実行も容易に行える構成になっている。Mojoは「AI駆動型の世界に向けた本番環境対応の基盤」を掲げ、CPU・GPU・AIアクセラレータなど多様なハードウェアに対応する。Rustなど現代的な言語の影響を受けつつ、Pythonとの相互運用性(PythonからMojoの呼び出し、その逆も可能)を特徴としている。現時点ではmacOSとLinuxに対応し、Windowsサポートも予定されている。なお、現在コンパイラおよびツール自体への外部コントリビューションはまだ受け付けておらず、Modularは「年末までに受け入れ開始を目指す」としている。

背景と方針転換

Mojoは当初、Pythonの完全なスーパーセットとなることを目標に開発されていたが、2025年8月頃に方針を転換した。開発チームは「Mojoが必ずしもPythonの完全なスーパーセットに進化する必要はない」との考えを示し、現在はPythonにインスパイアされた独立した言語として、GPUプログラミングを簡潔に記述できることに最適化する方向にシフトしている。この4年間、Mojoはコミュニティの意見を取り入れながらも非公開のコンパイラで開発が進められてきており、今回の全面公開は段階的なオープン化の集大成といえる。

今後の展望

Simon Willison氏はブログで、AI支援ツールがすでにPythonからMojoへの移行を効果的に助けていると指摘し、今後のツールの成熟とエコシステムの発展によってこの移行がさらに円滑になるとの見方を示している。コンパイラのソースが公開されたことで、外部開発者によるMojoの理解や検証が進むことが期待される一方、実際のコード貢献の受け入れは年末以降となる見通しで、コミュニティとの本格的な協働はこれからが本番となりそうだ。