概要

決済大手Stripeが、AIモデルルーティングサービスを手がけるOpenRouterを70億ドル以上で買収することが複数の報道で明らかになった。OpenRouterは2026年5月のシリーズBラウンドで13億ドルの評価額を付けたばかりで、わずか3カ月足らずで評価額が5倍以上に急騰した計算になる。Bloomberg Lawの報道によれば買収契約はすでに合意に達しているとされるが、最終的な価格は変動する可能性があるという。Stripeはこの報道について「噂や推測にはコメントしない」と述べるにとどめている。

OpenRouterの事業内容

OpenRouterは2023年設立のスタートアップで、開発者や企業がOpenAI、Anthropicをはじめとする400以上のAIモデルに単一のインターフェースからアクセスできるルーティングプラットフォームを提供している。用途やコストに応じて最適なモデルを選択できるほか、特定モデルで障害が発生した際のバックアップ経路としても機能し、特定ベンダーへのロックインを回避できる点が支持されている。同社は800万人規模のグローバル開発者・ユーザーを抱えていると主張しており、共同創業者でCEOのAlex Atallah氏(NFTマーケットプレイスOpenSeaの共同創業者でもある)は、自社を「AI版のStripe」と表現し、複数のAIシステムへの単一のアクセスポイントを提供する存在だと位置づけている。

評価額急騰の背景

OpenRouterはこれまでSequoia Capital、Andreessen Horowitz、Menlo Ventures、そしてAlphabetのグロース投資部門であるCapitalGなどから合計1億5000万ドル以上を調達してきた。5月のシリーズBでの評価額13億ドルから、今回の買収額70億ドル超への上昇は、企業がAIモデルの利用コスト最適化や複数モデルの使い分けを強く求める中で、AIインフラ関連スタートアップの評価額が短期間で急激に膨張している状況を象徴する事例といえる。

今後の見通し

Stripeにとって今回の買収は、これまでの決済処理事業の枠を超え、急成長するAIインフラ市場に本格的に足場を築く動きとみられている。企業がAI活用を進める中でモデル選定やコスト管理の需要は今後も拡大が見込まれ、OpenRouterのようなゲートウェイ機能を自社に取り込むことで、StripeはAI関連の決済・インフラ両面での存在感を高める狙いがあるとみられる。ただし最終価格は変動し得るとの指摘もあり、正式な契約締結や条件の詳細は今後明らかになる見通しだ。