概要
OpenAIは8月11日、ChatGPTの広告表示テストを英国・メキシコ・ブラジル・日本・韓国の5カ国に拡大すると発表した。今回のテストは2月に米国で開始されたもので、既に展開済みの米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドと合わせると、対象は9市場に広がる。広告はフリープランおよびGoプランでログインしている成人ユーザーに表示され、Plus・Pro・Business・Enterprise・教育向けの各プラン利用者や、18歳以下と判定されたアカウントには表示されない。
広告の仕組みと回答への影響
表示される広告は、会話のトピックや過去のチャット履歴、広告とのやり取り履歴などを踏まえて選定される。たとえば料理について調べているユーザーには、ミールキットや食料品配送サービスの広告が表示されるといった具合だ。広告には常に「スポンサー」というラベルが付与され、ChatGPTの回答本文とは視覚的に分離される形で表示される。OpenAIは「広告は回答内容に一切影響を与えず、回答は引き続きユーザーにとって最も有用な内容になるよう最適化される」と説明しており、広告主の意向が回答の中身に反映されることはないとしている。
市場ごとの機能差とビジネスインパクト
現時点で最も進んだ広告機能を提供しているのは米国で、ログイン・ログアウトの両方のユーザーをターゲティングでき、あらゆる規模の広告主が自社管理型の広告マネージャーツールを利用できる。今回追加された英国・メキシコ・ブラジル・日本・韓国の5市場は、これらの機能に段階的に対応していく見通しだ。ビジネス面では、テスト開始からわずか3カ月で月間平均広告支出が約1億900万ドルに達しており、年末までに5億ドル以上へ成長すると見込まれている。もっとも、OpenAIが掲げる年間25億ドルという広告収益目標に到達するには、さらなる急速なスケールアップが経営課題となる。
業界の反応と今後の展開
広告業界の受け止めは総じて前向きだ。英国のマーケティング業界では、調査対象となった経営陣150人全員が「ChatGPT広告への対応準備をしたい」と回答したとの証言もあり、広告主側の需要は明確に存在している。一方でOpenAIは、ChatGPTが医療や財務相談といった機微な内容を扱う親密な対話環境であることから、規制当局の監視も意識しつつ「ユーザーの信頼」と「収益性」のバランスを慎重に取る必要があるとしている。OpenAIは2026年末までにさらに多くの国へ広告テストを拡大する方針を示しており、広告フォーマットや購入モデルの追加についても検討を進めているという。