概要

Embarcaderoは2026年8月11日、Object Pascal(Delphi言語)向け統合開発環境の無料版「Delphi 13 Community Edition」を公開した。対象はプログラミングを学ぶ学生、個人利用のアプリを開発するホビイスト、年間収入5,000ドル未満のフリーランス開発者、そして年間収益5,000ドル未満かつチーム規模5人以下のスタートアップとされている。ライセンスは1年間の期間ライセンスとして無料提供され、限定的ながら商用利用も認められている点が特徴だ。今回のCommunity Editionは、有償版のバージョン12.1から13.0にかけて積み重ねられてきた複数世代分の機能強化を一括して取り込んだ内容になっている。

主な新機能

言語仕様面では、ifキーワードを用いた三項演算子、要素名を取得するNameOf組み込み関数、「is not」「not in」といった否定演算子、ジェネリック型制約の改善などが追加された。開発体験の面では、64ビットWindowsアプリケーションのビルドとデバッグに対応した新しい64ビットIDEが導入されたほか、64ビット化されたDelphi言語サーバー、作業に集中できるフォーカスモード、エディタの分割表示機能なども搭載されている。

モバイル対応の強化

モバイル開発まわりでは、Android API レベル35に対応しAndroid 15向けアプリのビルドが可能になったほか、iOS 18を対象としたネイティブアプリケーション開発にも対応した。さらにApple SiliconベースのMacでもシミュレータを利用した開発が行えるようになり、近年のモバイルOSやハードウェア環境の変化に合わせたアップデートとなっている。

背景と位置づけ

DelphiのCommunity Editionは、有償のEnterprise版などと同じコア機能を、学習目的や小規模な個人・商用利用に限定して無料提供する枠組みとして以前から提供されてきた。今回のバージョン13では、通常であれば複数回のメジャーアップデートに分けて提供される機能強化がまとめて反映されており、学生や個人開発者が最新のDelphi環境を体験しやすくなっている。1年間の期間ライセンスという形態のため、継続利用には更新の手続きが必要になる点には留意が必要だ。