概要

X(旧Twitter)は8月13日、「For You」タイムラインを支えるコア・ランキングエンジンのソースコードをApache v2ライセンスの下でGitHubに公開した。これにより、以前から一部公開していたコードベースの規模は約10〜15倍に拡大し、外部の開発者はGitHub上でプルリクエストを通じてアルゴリズムの改善を提案できるようになった。同時に、アプリ内で自分の投稿が「シャドウバン」されているかどうかを確認できる新しい透明性ツールの試験展開も始まっている。X幹部は「前例のないレベルのアルゴリズム透明性」だと説明しており、Elon Musk氏も「Transparency build trust(透明性が信頼を築く)」とコメントしている。

技術的な詳細

公開されたコードには、投稿の抽出からランキングまでを担うシステム一式に加え、異なるシグナルに重みを付けるパラメータや、ルール違反コンテンツをフィルタリングする仕組みが含まれる。中核をなすのは「Phoenix」と呼ばれるスコアリングシステムで、ユーザーは自分の環境でこれを実行し、外部の研究者が独立に検証できることも確認済みだという。X製品担当VPのKeith Coleman氏は「誰もが、プラットフォームが日々使っているのと同じランキングコードを見られるようになる」と述べている。一方で、Grokを用いた投稿の違反予測システムはスパム対策の観点から非公開のままとされ、公開範囲には一定の線引きがある。

シャドウバン確認機能

新設された「Under the Hood」ページでは、過去1ヶ月間に10回以上投稿しているユーザーを対象に、自分の投稿に適用された表示制限(visibility-limiting)ラベルの集計統計をJSONファイルとしてダウンロードできる。個別の投稿ごとの詳細ではなく月単位の集計データが中心で、非フォロワーや未成年ユーザーから非表示にされた場合の理由なども明記される。技術に詳しくないユーザー向けには、LLMを使ってこのJSONデータを解釈する使い方も想定されている。現時点ではアカウント登録から1年以上経過した小規模なテスターグループのみが利用可能となっている。

背景と今後の展望

Xはこれまで、特定の投稿やアカウントを意図的に目立たなくする「シャドウバン」を行っているとの疑惑にたびたび直面してきた。特に政治的な文脈での影響や、フェイクニュースの拡散への懸念が背景にあり、今回の一連の施策はユーザーが自らアルゴリズムのデータを検証できるようにすることでこうした批判に応える狙いがあるとみられる。ただし、過去のコード開示ではあまり実質的な情報が明かされなかったとの指摘も一部で上がっており、今回の公開が実際にどこまで透明性向上につながるかは今後の運用次第となりそうだ。シャドウバン確認ツールは現在小規模テスト段階だが、将来的には全ユーザーへの展開が計画されている。