概要
DeepSeekは8月12日、フラッグシップモデルの正式版「DeepSeek-V4-Pro-0813」を発表した。4月24日にプレビュー版として公開されたV4シリーズが、7月31日のFlashモデル正式化に続き、今回Proモデルもプレビューラベルを外して正式リリースとなった。1.6兆パラメータ(アクティブパラメータ490億)のMixture-of-Experts(MoE)構成を採用し、API・公式アプリ・Web経由で利用できる。エージェント向けワークロードでの利用を強く意識した強化が図られている点が特徴だ。
技術的な詳細
V4 Proは「圧縮スパースアテンション」と「高度に圧縮されたアテンション」という2種類のアテンション機構を組み合わせることで、単一トークンあたりの推論計算量を前世代V3.2の27%に、KVキャッシュ使用量を10%にまで削減した。モデルは32兆トークンを超える規模で事前学習されており、ドメインごとに個別に育成した専門家モデルをオンポリシー蒸留で統合するという手法がとられている。コンテキストウィンドウは最大100万トークン、最大出力は384,000トークンに対応する。
推論努力モードは「非推論」「高推論努力」「最大努力」の3段階から選択可能で、最も高い「V4-Pro-Max」モードではSWE-bench Verifiedで80.6%、GPQA Diamondで90.1%、MMLU-Proで87.5%、LiveCodeBenchで93.5%、Codeforcesレーティング3,206というスコアを記録したとしている。DeepSeekはGPT-5.4やGemini-3.1-Proとの比較表も提示しているが、この0813ビルドについて第三者による独立検証はまだ行われていない。
提供方法と価格
V4 ProはDeepSeek公式APIおよびOpenRouter経由で利用可能で、OpenAI ChatCompletions形式・Anthropic Messages形式・DeepSeekネイティブAPIのいずれにも対応し、ツール呼び出しやJSON出力もサポートする。API価格は入力がキャッシュミス時100万トークンあたり0.435ドル、キャッシュヒット時は0.003625ドルと大幅に安く、出力は100万トークンあたり0.87ドル。Proエンドポイントの並行処理制限は500件となっている。なお、記事によればDeepSeekの公式価格ページには近い将来の大幅な値上げが予告されており、正式なアナウンスが待たれる状況だ。
背景と今後の展望
Flashモデルは社内のコーディングエージェント評価スイートにおいてV4-Pro-Previewの性能を上回り、すでにエージェントワークロードのデフォルトモデルとして採用されているという。中国発のオープンウェイト系AI企業は、MoonshotのKimi K3やMiniMaxのM2.7など月次ペースでフラッグシップモデルを投入する激しい競争環境にあり、今回のV4 Pro正式版リリースはDeepSeekがこの競争の中で存在感を維持するための一手と位置づけられる。現時点でHugging Faceには4月のプレビュービルドがホストされているが、今回の0813ウェイトが一般公開されるかどうかは明らかにされていない。