概要
複数の情報筋の話として、Anthropicがイスラエルの AIスタートアップDecart AIを約60億ドルで買収する交渉を進めていると報じられた。実現すればAnthropic史上最大の買収案件となる見通しだが、協議はまだ最終段階には至っておらず、交渉が不成立に終わる可能性も残されているという。買収が成立した場合、Decartのチームは既存のAnthropicの推論・パフォーマンス組織に統合される予定とされる。
Decartの技術と事業内容
Decartは「ワールドモデル」と呼ばれる、物理世界をシミュレーションする技術を開発している。同社の看板モデル「Lucy」は、ライブビデオフィードから高解像度の映像をリアルタイムで生成・修正できるのが特徴で、例えばファッションEコマース分野におけるドレスやバッグの試着シミュレーションといった用途で実用化されている。
これに加えて、Decartはチップの効率性を高めるソフトウェアも手掛けている。同社のこの技術は、AIモデルの訓練コストを削減する効果があるとされ、Anthropicが計算資源への投資を拡大し続けるなかで、既存インフラの負荷軽減や需要吸収能力の強化につながると見込まれている。
企業背景
Decartは2023年、イスラエル出身のエンジニアであるDean Leitersdorf・Orian Leitersdorf兄弟とMoshe Shalev氏の3人によって設立された。2026年5月の資金調達ラウンドでは3億ドルを調達し、企業価値は2025年8月時点の約31億ドルからほぼ40億ドルへと急伸した。投資家にはRadical Ventures、NVIDIA、Sequoia Capitalのほか、eBayやAdobeといった大手企業も名を連ねている。
今後の見通し
Anthropicは新製品開発と顧客対応の両面で計算能力への投資を積み増しており、今回報じられた買収交渉もその一環とみられる。ただし、報道時点では取引は正式合意に至っておらず、今後の推移が注目される。