概要
米メモリ大手Micron Technologyの株価が8月12日、7%を超えて急伸し、時価総額が再び1兆ドルの大台を突破した。これにより同社は時価総額で世界15位の規模に浮上した。Micronが1兆ドルの節目を初めて超えたのは5月26日で、その後も乱高下を繰り返しながら上昇基調を維持しており、年初来では株価が約270%上昇する場面もあった。今回の急伸は、データセンター向けメモリ需要の拡大を背景に、主要メーカーの供給がすでに2年先まで逼迫しているとの見方が広がったことが直接のきっかけとなっている。
背景にあるAIメモリ不足
今回の株価上昇の根底にあるのは、生成AI向けインフラの急拡大に伴うメモリチップの深刻な供給不足だ。NvidiaのH200のような最新AIアクセラレータは1基あたり最大141GBもの高帯域幅メモリ(HBM3E)を必要とし、Microsoft、Google、Amazonなどのハイパースケーラーが複数年にわたる購買契約を確保しようと動いている。DRAM価格は2026年第2四半期だけで58〜63%上昇するとの予測もあり、Intelの最高経営責任者は主要メモリメーカーが今後2年分の生産能力について実質的に「完売」状態にあると述べている。こうした需給逼迫はMicronの売上を押し上げ、同社の業績はここ数四半期で急激に拡大してきた。
Micronは、SamsungやSK Hynixと並びメモリチップ製造を担う世界3大メーカーの一角を占めており、この寡占的な市場構造が価格決定力の強化につながっている。新規の半導体製造工場の建設には数年単位の時間がかかるうえ、次世代メモリの製造プロセスは技術的に一段と複雑化しているため、業界関係者の間では今回の供給逼迫が2027年以降も長期化するとの見方が強まっている。
今後の見通し
急激な株価上昇の裏側では、バリュエーションの過熱に対する懸念も浮上しており、直近では一時13%規模の下落を伴う調整局面もみられた。それでもハイパースケーラー各社によるAIインフラ投資が衰える兆しは乏しく、メモリ需要は当面高止まりするとの見方が市場では優勢だ。AIブームの恩恵をどの企業が最も享受するかという議論において、モデルの性能そのものよりも、HBMをはじめとする物理的な供給網を掌握する企業が優位に立つとの指摘もあり、Micronの動向は今後もAI関連株全体の先行指標として注目されそうだ。