概要

OpenAIは、現従業員および元従業員を対象とした70億ドル規模の株式テンダーオファー(公開買い付け)を完了したと報じられた。買い付けの結果、同社の企業価値は8520億ドルと評価された。これは3月に実施された1220億ドル規模の資金調達ラウンド時点の評価額と同水準であり、これまで調達のたびに評価額を切り上げてきたOpenAIにとって、初めて評価額が横ばいとなるテンダーオファーとなった。

買い戻しの背景と資金運用

今回のテンダーオファーで注目されるのは、外部投資家の資金を頼らず、OpenAIが自社の手元資金を使って従業員株式を買い戻した点だ。3月の資金調達ラウンドでは大型ファンドから資金を調達し、現金準備を大幅に積み増していた経緯があり、その潤沢な手元資金が今回の自己資金による買い戻しを可能にした形だ。非上場企業が従業員に株式価値を現金化する機会を提供する手段として、テンダーオファーは近年広く活用されており、OpenAIもこれまで複数回にわたって同様の買い付けを実施してきた。一方でウォール・ストリート・ジャーナルは、4月時点で同社が社内の財務目標を達成できていなかったと報じており、急成長を続ける一方でコスト面の課題も抱えている実態がうかがえる。

IPOの行方

OpenAIは6月、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)に向けた目論見書を非公開形式で提出した。ただし上場時期は明らかにされていない。CEOのサム・アルトマン氏は従業員に対し1年以内の上場を見込んでいると伝えたとされる一方、複数の報道では上場が2027年にずれ込む可能性が指摘されている。予測市場Kalshiでは、2027年3月1日までにOpenAIが正式にIPOを発表する確率を約59%とする見方が示されており、市場でも上場時期をめぐる見解は割れている。評価額が据え置かれた今回のテンダーオファーは、IPOが近い将来には実現しない可能性を示すシグナルとして受け止められている。