概要
Microsoftは8月5日、Visual Studio Codeの月例アップデート「1.132」を公開した。今回のリリースはAIエージェントとの協働をさらに滑らかにすることに主眼が置かれており、統合ブラウザ上で特定の要素を選んで注釈を付けられる「要素単位フィードバック」機能、作業中のチャットを中断せずに質問できる「サイドチャット」、多言語対応の音声入力、Markdownハイブリッドエディタでの差分表示など、開発中のコンテキストを保ったままAIとやり取りできる仕組みが多数追加された。
統合ブラウザとサイドチャットの強化
統合ブラウザには、ウェブページ上の特定の要素を選択してコメントを付けられる「フィードバック提供」モードが加わった。キーボードショートカットで起動し、複数の要素にそれぞれ注釈を付けてからまとめてチャットに送信できるため、UIの見た目や挙動に関する指示をエージェントに対してより正確かつ実行可能な形で伝えられるようになる。
チャット面では、/btwコマンドで呼び出せる「サイドチャット」が導入された。これは現在進行中のプライマリチャットのターンを中断することなく、脇道の質問を投げかけられる仕組みで、プライマリチャットとコンテキストおよびプロンプトキャッシュを共有する。テキストを選択した状態からも文脈に応じた質問を発行できるため、メインの作業フローを止めずに疑問点を解消できる。
音声入力とターミナルの改善
音声入力機能は多言語対応に拡張され、オンデバイスの「Nemotron 3.5」モデルを採用することで音声データを端末内で処理する方針を維持しつつ、agents.voice.language設定に基づく言語指定または自動検出に対応した。~/.copilot/dictation.mdや.github/dictation.mdに記述したカスタム指示を組み合わせることもでき、初回利用時にはマイク選択と波形確認のオンボーディングが用意されている。ターミナル向けの音声入力も改善され、シェルに応じたクリーンアップ処理により「git commit dash m」のような発話をgit commit -mと正しいコマンド構文に変換できるようになった。加えて、チャット内に表示されるターミナル出力はウィンドウ幅の変更に応じて自動的に折り返しが再調整されるようになり、可読性が向上している。
エディタとエージェントホストの拡張
前バージョンで導入されたMarkdownハイブリッドエディタには差分表示機能が統合された。修正対象のドキュメントを編集可能な状態のまま保ちつつ、ガター表示で追加・変更・削除箇所を視覚的に確認でき、テキスト差分とMarkdown差分のエディタ表示を切り替えることもできる。さらにエージェントホストが拡張され、複数のVS Codeウィンドウから同一のエージェントセッションにアクセスできるようになった。Copilotをはじめとするエージェントは別プロセス上で実行される構成となっており、複数ウィンドウをまたいだ作業の継続性が高まっている。
今後の展望
一連の変更は、AIエージェントとの対話をコーディング作業の合間に自然に差し込めるようにするという方向性を示している。要素単位フィードバックやサイドチャットのように「メインの作業を止めずに補助的なやり取りを行う」設計思想は今後のリリースでも継続すると見られ、エディタとエージェントの境界がさらに曖昧になっていくことが予想される。