概要
米バージニア州アレクサンドリアの連邦裁判所は2026年8月5日、ランサムウェア・アズ・ア・サービス(RaaS)事業「Ransom Cartel」を設立・運営していたベラルーシ国籍のマクシム・シルニコウ被告(40歳、通称「J.P. Morgan」「lansky」)に対し、禁錮16年の判決を言い渡した。同被告は2021年から2023年にかけて、カリフォルニア州、ニューヨーク州、ネブラスカ州の企業を含む少なくとも18社を攻撃した罪に問われていた。
事業モデルと手口
シルニコウ被告は自ら攻撃を実行するだけでなく、RaaSの事業インフラそのものを構築していた点が特徴的だ。ロック化(暗号化)ソフトウェアを開発し、初期アクセスブローカーから侵入済みの認証情報を購入。さらに、アフィリエイト(実行犯グループ)が攻撃状況を監視したり被害企業と身代金交渉を行ったりするための隠蔽パネルを提供し、成果を上げたアフィリエイトに報奨を与える評価システムまで運用していた。身代金の受け取りには暗号資産ミキサーを利用し、資金の流れを隠蔽していたという。事業拡大に向けては2021年5月、ロシア語のサイバー犯罪フォーラムに「収益:1000万ドル以上。価格は100ドルから」とうたう求人広告を投稿し、独立国家共同体(CIS)圏外の企業ネットワークへのアクセスを提供できる協力者を募集していた。
逮捕から判決までの経緯
同被告は2023年6月に起訴され、同年7月にポーランドで逮捕、起訴内容自体は2024年に公開された。その後2024年8月、ポーランドから米国へ身柄が引き渡されている。ランサムウェア関連の量刑としては、2024年にREvil事件のウクライナ人被告ヤロスラフ・ヴァシンスキーが受けた禁錮13年7ヶ月の判決を上回るものとなった。
今後の見通し
事件は完全には終結していない。ニュージャージー州では関連する別の連邦起訴が進行中で、ボロディミル・カダリアとアンドレイ・タラソフの両名が共犯として起訴されているが、いずれも依然として逃亡中だ。米国務省はカダリアの身柄確保につながる情報に対し、最大250万ドルの懸賞金を設定しており、捜査は今後も続く見通しである。