概要

さくらインターネットは8月4日、生成AI推論API基盤「さくらのAI Engine」において、Preferred Networks(PFN)の国産大規模言語モデル「PLaMo 3.0 Prime」の提供を開始した。PLaMo 3.0 Primeは情報通信研究機構(NICT)との共同研究で得た事前学習モデルをベースにPFNがフルスクラッチで開発した生成AI基盤で、6月22日に正式リリースされていた。今回のさくらのAI Engineでの提供により、国内データセンター上でPLaMo 3.0 Primeを利用できるルートが新たに整備されたことになる。ただし利用には申請とPFNの承認が必要で、さくらのAI Engineの無償プランは対象外となっている。

技術的な詳細

PLaMo 3.0 Primeは推論力強化型の「Reasoningモデル」と位置づけられており、複雑な指示への対応、段階的な推論、数理・アルゴリズム問題への対応力が強化されている。今回の提供開始に合わせて、対応可能なコンテキスト長は従来の64kトークンから256kトークンへと大幅に拡張され、より長い文書や会話履歴を踏まえた処理が可能になった。PFNは業務文書や対話、専門領域での利用を想定した学習・評価を実施しており、日本語における文脈理解や論理展開、指示追従性能を重視して開発している。また独自開発のトークナイザーを採用することで、日本語処理におけるコスト効率も改善しているという。

性能と安全性

安全性の評価では、スタンフォード大学が策定した「HELM Safety」ベンチマークにおいて海外モデルと同程度以上の性能を達成したとされる。またPFNの社内評価によれば、Qwen3.6-27BやGPT-5.4 miniといった同程度の性能帯に位置づけられる海外モデルとの比較において、日本語の指示追従やコーディング、ツール利用(エージェント実装)の領域で競争力のある結果を示しているという。エージェント実装への対応強化は、コンテキスト長の拡張とあわせて、より複雑なタスクをこなすAIエージェントの構築を後押しする狙いがあるとみられる。

提供形態と今後

さくらのAI Engineは2025年9月に一般提供が開始されたサービスで、国内データセンターで複数の基盤モデルをAPI経由で提供している。PLaMo 3.0 Primeの利用を希望するユーザーは、コントロールパネルの「モデル一覧」から申請を行い、PFNの承認を得る必要がある。料金は申請が承認されたユーザーにのみ表示される仕組みで、一般公開はされていない。国内データセンターでの提供という特性上、データの取り扱いや機密性を重視する企業ユーザーからの需要が見込まれる。