概要

2年前に設立された光学ネットワーキングのスタートアップLumilensが8月6日、ステルスモードを解除し、累計9億ドル超の資金調達を実施したと発表した。このうち最新のSeries Cラウンドは7億ドル超にのぼり、同社の評価額は55億1000万ドルに達している。ラウンドはAtreides Management、Bain Capital Ventures、Meritech、Seligman Ventures、Spark Capitalの5社が共同でリードし、Qualcomm VenturesやAddition、Alkeonを含む12社以上の投資家が参加した。CEO兼共同創業者のAnkur Singla氏は、AIインフラの制約が「GPUを何台購入できるか」から「何台を接続できるか」へとシフトしていると述べており、Lumilensはこの接続ボトルネックの解消を狙う。Singla氏は過去に2つのネットワーキング系スタートアップを合計6億7600万ドルで売却した実績を持つ。

技術的な詳細

Lumilensは、AIデータセンター内でGPU間を結ぶ銅配線を、より高速な光ファイバー接続に置き換えるチップを開発している。製品群は「LumiCore」と呼ばれる共通の基盤技術から構成され、フォトニック部品、混合信号集積回路、インターポーザーを共通コンポーネントとして再利用することで、チップ開発期間を「数年から数ヶ月」に短縮できるとしている。製造工程にはロボットとAIソフトウェアを組み込んだカスタムワークフローを採用している。

製品ラインナップは大きく2種類に分かれる。GPUを密結合する「スケールアップ」ネットワーク向けには、数千基のGPUを接続できるCo-packaged optics(CPO)チップと、マザーボード上に搭載するNear-packaged optics(NPO)チップを用意。ラック間・クラスター間を結ぶ「スケールアウト」ネットワーク向けには、800ギガビット/秒および1.6テラビット/秒以上の帯域幅に対応するプラグイン可能なトランシーバー用チップを提供する。

背景・市場動向

生成AIブームに伴いGPUクラスターの規模は急速に拡大しており、例えば40万GPU規模のデータセンターを構築するには240万個以上の光学トランシーバーが必要になるという。従来の銅配線では伝送距離や帯域幅の制約から大規模GPUクラスターの接続がボトルネックとなりつつあり、光インターコネクトへの需要が高まっている。Lumilensはすでに大手ハイパースケーラー顧客との間で数十億ドル規模の受注を獲得し、生産出荷を開始済みとしている。一方でCPO技術の大規模な商用展開については、本格化まで2~3年程度を要する見通しが示されており、それまではNPOが橋渡し的な解決策として位置づけられている。

今後の展望

今回調達した資金は、チップの開発と量産体制の加速に充てられる方針だ。ハイパースケーラー各社がAIインフラへの投資を積み増す中、GPUの計算能力を最大限に引き出すための接続基盤として、光インターコネクト技術を手がける企業への注目と資金流入は今後も続くとみられる。