概要

台湾メディアDigiTimesの報道を発端に、サムスン電子・SKハイニックス・マイクロンの世界大手メモリ3社が、2027年分のDRAMおよびHBM(広帯域幅メモリ)の生産能力をすでに完売したと複数の海外メディアが報じた。世界のDRAM・HBM供給の大半を占めるこの3社の受注枠が予定より数カ月早く埋まったことで、新規需要に応える余力がほぼ失われた状態だという。背景にあるのは生成AIサーバー向けの旺盛な需要で、AIサーバーとHBMだけでDRAM出荷全体の約7割を占めるとの分析もあり、PCやスマートフォンなど民生向け製品にしわ寄せが及ぶ構図が鮮明になっている。

AI需要が生産枠を奪う構造

大手クラウド事業者やAI企業は、HBMをはじめとするメモリを長期契約で大量に確保する動きを強めており、これが3年から5年単位の供給契約という形で生産能力を先食いしている。AI向け需要は民生向けよりも高い価格を許容するため、新たに生まれる生産余力があってもAIサーバー向けHBMに優先配分される可能性が高く、一般消費者向けDDR5メモリへの供給拡大は期待しにくい状況にある。メモリモジュールメーカーのApacerも、2027年のDRAM供給が最大で7割落ち込む可能性があると警告しており、業界内でも供給不安が広がっていることがうかがえる。

PC・スマートフォンへの影響と価格動向

この供給逼迫のあおりを受け、PC・ノートPC・スマートフォン向けのDRAM割り当ては2026年と比べて2027年に大幅に縮小される見通しだ。Appleにとっても高価格なメモリ調達が2027年も続くことが事実上確定したと報じられており、完成品価格への転嫁が避けられない可能性がある。実際、Microsoftはゲーム機向けのストレージ・メモリ価格がすでに2.5倍以上に上昇したと説明しており、2027年秋までにさらに倍増する可能性があるとの見方を示している。

今後の見通し

今回の完売報道は、2024年頃から続く世界的なメモリ供給不足がさらに長期化・深刻化する可能性を示すものだ。新規供給が緩和されるのは早くても2028年以降とみられ、一部の分析では不足が2030年頃まで続くとの見方も示されている。AI投資が今後も拡大を続ける限り、DRAM・HBMを巡る争奪戦は当面続く見込みで、PCやスマートフォンの買い替えコストにも影響を及ぼす可能性がある。