概要
ロンドン交通局(TfL)は8月5日、英国のAIスタートアップWayveが改造した車両を旅客輸送(PHV: Private Hire Vehicle)として正式にライセンス認可した。これにより、UberとWayveが連携する有人監督付き自動運転タクシーサービスが英国で初めて実現することになった。認可されたのは最大15台の車両で、1年間の試験運用という位置づけ。今年の夏には一般利用者向けのサービスが始まる見込みで、Uberが6月に開設した利用希望者リストにはすでに10万人以上のロンドン市民が登録しているという。
サービスの仕組みと技術詳細
今回認可されたのは電気自動車のFord Mustang Mach-Eをベースに、カメラやレーダーセンサー、自動運転ソフトウェアを搭載した改造車両。独立機関による評価の結果、これらの改造は1998年制定の私有旅客輸送車両(ロンドン)法の要件を満たすと確認された。運行にあたっては有資格の私有旅客輸送車両ドライバーが必ず同乗し、通常走行時はハンドルから手を離しているものの、車両全体の管理責任を負う「セーフティスーパーバイザー」として乗車する。利用者はUberアプリ上の専用予約フローを通じてオプトインする形でサービスを利用する。
背景と今後の見通し
Wayveは2018年からロンドンで自動運転技術の実証を重ね、これまでに世界500以上の都市で走行テストを実施してきた実績を持つ。今年のMOVE 2026では、Wayve・Uber・ステランティスの3社がレベル4自動運転車両に関するグローバルパートナーシップを発表しており、今回のTfL認可はその一環と位置づけられる。将来的には無人運転のNissan車両の投入も計画されているが、これには英国運輸省の車両基準庁(DVSA)が発行する自動旅客輸送(APS)許可という、さらに別の規制承認が必要となる。TfLはコメントの中で「安全性が最優先事項であり、ロンドンの道路で旅客を運ぶ新たな車両は、2041年までに交通事故による死亡・重傷者をゼロにするというVision Zero目標に沿ったものでなければならない」と強調している。
ロンドンの自動運転タクシー市場では競争も激化している。Waymoは今年中の完全無人運転サービス開始を計画しており、BaiduのApollo Goも先週テストを開始し2027年の一般提供開始を目指している。Uber側は年内に世界10都市以上で自動運転配車サービスを展開する方針で、Wayveに加えてNuroともパートナーシップを結んでいる一方、既存のUber・Waymo提携は2028年に終了する予定となっている。