概要

テスラとスペースXは、テキサス州グライムズ郡(ヒューストン北西約1時間)に半導体製造拠点「Terafab」を共同で建設すると正式発表した。第一段階の投資額は168億ドルで、これは本年3月に発表されていた当初想定の250億ドルから縮小された金額となる。イーロン・マスク氏は同施設について「地球上で最も大きく、最も価値のある建物になるだろう」と述べており、延べ床面積は1億平方フィート(約930万平方メートル)超を計画している。将来的な拡張フェーズも予定されており、投資規模はさらに拡大する見込みだ。

生産体制と規模

Terafabはロジック・メモリチップの製造からパッケージング、テストまでを一拠点で完結させる統合施設として計画されている。生産対象は、エッジコンピューティングや推論用途のチップ、テスラのヒューマノイドロボット「Optimus」や自動運転タクシー「Cybercab」向けのチップ、さらにスペースXが構想する宇宙ベースのデータセンター向け高性能チップと幅広い。両社は年間1テラワット超のコンピュート能力を生み出すことを目標に掲げており、施設名の「Terafab」もこの目標に由来するとみられる。稼働にあたってはグライムズ郡およびブラゾス郡を中心に最低3,000人の雇用創出が見込まれ、地元教育委員会からも歓迎の声が上がっている。インテルも同プロジェクトへの貢献を表明している。

インフラと環境面の対応

用水についてはスペースXが、2018年に閉鎖された石炭火力発電所の旧冷却水源であったギボンズクリーク貯水池からの取水にコミットすると表明しており、地下水への依存を避ける方針を示した。テキサス州知事室も地元学区との連携を強調するなど、地域社会との協調を前面に打ち出した発表となっている。

今後の展望と留意点

テスラの半導体調達は目下、サムスンとTSMCとの既存契約で当面まかなわれる見通しで、サムスンは現行のAI5チップを生産中、AI6チップについても165億ドル規模の契約が既に結ばれている。Terafabはこれらに続く長期的な自社生産基盤という位置づけになる。一方でスペースXのIPO関連の開示文書では、Terafabは両社間の拘束力ある合意を伴わない「一般的な枠組み」に過ぎないと記載されており、対外的な発表内容と規制当局向け文書との間に温度差がある点は注視が必要だ。スペースX単独でも将来的に最大1,190億ドルを追加投資する可能性が報じられており、今後の具体的な建設スケジュールや投資規模の確定が焦点となる。