概要
Samsung重工業(Samsung Heavy Industries)とMousterian Corporationは、テキサス州向けに係留型の浮体式データセンターを開発するための設計契約を締結した。両社は基本設計・詳細設計・製作設計を共同で担当し、次段階としてEPC(設計・調達・建設)契約の締結を見込んでいる。パイロットサイトはヒューストン近郊の既存のコンバインドサイクルガスタービン発電所に隣接する場所に設置される予定で、既存の電力インフラを活用できる立地が選ばれた。陸上の適地不足や電力供給の制約を回避する新たなデータセンター建設手法として、AIインフラの急拡大を背景に注目を集めている。
技術的な詳細
各施設は50MWのIT負荷容量を持つ設計で、飲料水を一切消費せず排水も発生しない非蒸発冷却技術を採用する。従来の空冷式チラーやファンを排除することで、水消費と騒音の両方を低減し、係留された構造物を取り囲む水を冷却源として利用する仕組みになっている。この水上施設は米国船級協会(American Bureau of Shipping)によって分類される予定で、海事分野の基準をデータセンターインフラに適用する点も特徴だ。浮体式であることにより、土地開発をめぐる競合を避けられるほか、必要に応じて施設を移動できる可動性も備え、AI向けの大規模IT容量を工場生産的に短期間でスケールさせられるとされている。
規制上の課題と今後の展望
Samsungは、サーバーメーカーのSupermicroとの提携により2028年の稼働開始を目標としているが、テキサス州の規制動向が計画に影響を及ぼす可能性がある。同州のグレッグ・アボット知事は最近、監査が完了するまでERCOT(テキサス電力信頼性評議会)への新規データセンター接続承認を一時停止した。現在ERCOTに寄せられている接続申請は474GW超に上り、そのうち約9割をデータセンターが占め、ピーク需要の5倍に達しているという。こうした需要急増を背景とした規制強化により、浮体式データセンターのような新形態のインフラ整備計画も、スケジュールの見直しを迫られる可能性がある。