概要

Anthropicは8月4日、AIクラウド新興企業Volta Infra Holdingsと6年間で100億ドル規模の計算資源契約を締結したと報じられた。Voltaは2026年初めに設立されたばかりで、わずか半年余りでAnthropicという大口顧客を獲得した形となる。契約の舞台となるのは、暗号資産マイニング企業Bitdeer Technologiesが運営するノルウェーのデータセンターで、水力発電による電力を活用し、Nvidiaの最新チップ「Vera Rubin」を搭載する。VoltaはNvidiaのCloud Partnerプログラムにも参加しており、以前から「あるAI研究機関と協業している」とほのめかしていたが、その相手先がAnthropicであることは今回のBloombergの報道で初めて明らかになった。

技術的な詳細と契約構造

データセンターの初期稼働容量は133メガワットで、提供体制は2フェーズに分かれており、2027年3月までに順次引き渡される計画だ。なおVoltaは、このノルウェー案件を皮切りに北米・欧州で合計1ギガワット超の近未来的な開発パイプラインを抱えているとされる。この契約と同時にVoltaは3億ドルのベンチャー資金調達も実施しており、Andreessen Horowitz、Altimeter Capital、Nvidia、Michael Dell氏らが出資者に名を連ね、企業価値は24億ドルに達した。さらにVoltaは、高額なAIチップの調達負担を顧客が賄えるよう、50億ドル規模の顧客向け融資枠も新設している。今回の発表を受けて、データセンターを運営するBitdeerの株価は14%急伸した。

背景と業界動向

Voltaを設立したのは、資産運用大手Brookfieldの元幹部らで、AIブームに伴う計算資源需要の急拡大を見込んで新会社を立ち上げた。Anthropicにとって今回の契約は、計算基盤を巡る一連の大型投資の一つに過ぎない。同社はGoogle、Amazon(追加で50億ドルを出資)、SpaceX、Broadcom、AMDなど複数のパートナーと計算資源やインフラ面での提携を進めており、OpenAIなど競合とのAI開発競争を見据えて計算能力の確保を急いでいる。一方で、AIラボとチップサプライヤーの間で相互依存が強まることについては、AI需要が期待通りに伸びなかった場合に財務的な損失が連鎖的に拡大するリスクがあると指摘する声も業界にはある。