概要

Python 3.15の最初のリリース候補(3.15.0rc1)が8月4日に公開された。RC1の時点でABI(アプリケーションバイナリインタフェース)の変更は凍結され、以降は正式リリースに向けてバグ修正のみが許可される。次のリリースとなる3.15.0rc2は2026年9月1日を予定しており、正式版は同年10月1日にリリースされる見込みだ。バイナリはpython.orgのダウンロードページから入手できる。

技術的な詳細

今回のリリース候補で最も注目されるのが、PEP 810で導入された明示的な遅延インポート機能で、起動時のインポート処理を減らすことでパフォーマンスの向上が期待できる。JITコンパイラも強化され、x86-64版Linuxでは幾何平均で8〜9%、AArch64版macOSでは12〜13%の性能改善が確認されている。また、macOSの公式バイナリではフリースレッド(GILを持たないビルド)対応が標準で組み込まれるようになり、Windows 64ビット版ではテイルコール方式のインタプリタが採用された。

このほか、組み込み型として辞書の不変版であるfrozendict(PEP 814)と、番兵オブジェクトを表すsentinel(PEP 661)が新たに追加された。型システム関連では、TypedDictに型付きの追加項目を許容するPEP 728や、型フォームを注釈するためのTypeFormを導入するPEP 747が取り込まれている。さらに内包表記内でのアンパック構文(PEP 798)、UTF-8をデフォルトエンコーディングとするPEP 686、システム可観測性向上のためフレームポインタをデフォルトで有効化するPEP 831、C APIにPyBytesWriterを追加するPEP 782など、多岐にわたる改善が含まれる。プロファイリング関連パッケージの再編(PEP 799)やエラーメッセージ・カラー出力の改善も行われた。

今後の展望

RC1の公開によりPython 3.15の機能セットはほぼ確定した状態にあり、今後はバグ修正を中心とした安定化フェーズに入る。9月1日のrc2を経て、10月1日の正式リリースに向けて最終調整が進められる見通しだ。遅延インポートやJITの性能改善は特に大規模アプリケーションの起動時間や実行速度に直結するため、正式リリース後の実運用でのベンチマーク結果にも注目が集まりそうだ。