概要

Sakana AIは8月3日、日本語特化LLM「Namazu」をアップデートし、APIサービス「Sakana Namazu」の提供を開始した。ベースとなるのはMoonshot AIのオープンモデル「Kimi K2.6」で、Sakana AIが社内の専有データを用いて日本語の微妙な表現や日本国内のビジネス慣行に適応させる事後学習を施している。同社は2024年に1900万ドルの資金調達を完了しており、今回のサービスは「Sakana Chat搭載モデルを自社プロダクト経由で利用したい」というユーザーからの要望に応える形で開発された。フロンティアモデルの高コストと、オープンモデルの品質への不安という市場ギャップを埋める位置付けとなる。

技術的な詳細

Sakana NamazuはOpenAI互換APIとして設計されており、既存のOpenAI API利用コードをbase_urlとAPIキーの変更のみで移行できる。Web検索機能とコード実行機能をビルトインツールとして備え、単純なテキスト生成にとどまらない自動化ワークフローの構築が可能だ。またチューニングにおいては、特定の話題での応答拒否や出力の偏りを抑えることも重視されたという。

料金体系はテキスト入力が100万トークンあたり0.95ドル、出力が4ドル、キャッシュ入力は0.15ドルに設定されている。追加機能としてWeb検索は1,000回あたり7ドル、コード実行は1時間あたり0.12ドルで利用できる。

ベンチマーク性能

推論能力を測るMMLU-Proやコーディング能力を評価するLiveCodeBench(v6)では、ベースモデルのKimi K2.6と同等の性能を維持しつつ、数学的推論を測るAIME26でも強力な結果を示しているという。一方、日本語指示追従性能を評価するJFBenchなど日本語関連のベンチマークではベースモデルを上回る成績を記録した。特に注目されるのは政治的中立性テスト「FairPoliticsQA」で、スコアが34.10%から56.30%へと大きく改善したとされる点で、日本語圏での実運用を意識したチューニングの成果が表れている。

想定用途と市場背景

想定される用途としては、週次の市場調査レポート自動生成、日本語カスタマーサポートの自動化、受注・販売データの集積分析などが挙げられている。プロ用途に耐える高機能な日本語LLM APIの選択肢は現状限られているとされ、Sakana Namazuはこうした市場の空白を埋めるサービスとして位置付けられる。国内企業が日本語処理に特化したAPIを低コストで利用できる選択肢が増えることで、今後の業務自動化ニーズへの対応が進むことが期待される。