概要

オープンソースのマルチメディアフレームワークFFmpegは8月3日、最新メジャーバージョンとなる9.0「Lei」をリリースした。動画・音声の変換や処理を担う業界標準ツールとして、ブラウザやメディアプレイヤー、配信基盤など幅広いソフトウェアの基盤を支えるFFmpegだが、今回のアップデートではメディアフォーマット対応の拡充とハードウェアアクセラレーションの強化が中心となっている。目玉機能はアニメーションWebPのデコードおよびデマルチプレックス対応で、これによりFFmpeg単体でアニメーションWebPファイルの再生・変換が可能になった。

Vulkanによるハードウェアアクセラレーション強化

FFmpeg 9.0ではVulkan APIを介したハードウェアアクセラレーションが大幅に拡張された。具体的には、APV(Advanced Professional Video)のビデオデコーディング、Apple ProRes RAWのVulkanアクセラレーション、そしてv360ビデオフィルタのVulkan対応が新たに追加されている。これらはプロフェッショナル向けの高品質な映像編集ワークフローを念頭に置いた強化であり、GPUベンダーを問わないVulkanの特性を活かすことで、より幅広い環境での高速処理が期待できる。あわせて、NVIDIA CUDA向けのトランスポーズフィルタも新規実装された。

AMD AMFの機能拡張とその他の変更

AMD Media Foundation(AMF)関連では、HDR対応のカラーコンバーター拡張、フレームレートコンバーター、ビデオ品質エンハンサーフィルタが追加され、AMD製GPUを用いたエンコード・処理パイプラインの表現力が向上した。このほか、SMPTE 2094-50メタデータのサポートやDolby Vision多層HEVCの分割機能も加わっており、HDRおよびDolby Visionコンテンツを扱う制作現場での活用が見込まれる。音声面では、DAB+放送などで用いられるHE-AAC 960のデコーディングにも対応した。AI関連の機能としては、ONNX Runtime DNNバックエンドがGPU実行に対応し、機械学習を用いた映像処理フィルタの高速化が図られている。一方で、長年サポートされてきたCELTデコード機能は本バージョンで廃止された。

今後の展望

FFmpeg 9.0はソースコードから最新版をビルドすることで入手可能であり、主要Linuxディストリビューションやパッケージマネージャーへの反映も順次進むとみられる。アニメーションWebP対応やVulkanベースの機能拡張は、Webコンテンツ制作からプロフェッショナル向け映像編集まで、FFmpegを基盤とする幅広いツールチェーンに恩恵をもたらすとみられ、今後のマイナーアップデートでのさらなる安定化・機能追加が期待される。