概要
Alibaba Cloud傘下のQwenチームは8月3日、Qwenファミリー最高性能となる2.4兆パラメータの新モデル「Qwen3.8-Max」を発表した。Mixture-of-Experts(MoE)方式を採用しており、推論時には950億のアクティブパラメータのみを使用する設計となっている。最大100万トークンのコンテキストに対応し、大規模なソースコード一式や大量の業務文書、長時間の動画などをまとめて処理できるとしている。Alibabaがこの規模のモデルをオープン化するのは今回が初めてで、来週には重みを一般公開する予定のほか、270億パラメータの軽量版(Qwen3.8-27B)も併せて公開される見込みだ。発表を受けてAlibaba株は上昇した。
ベンチマークと性能
ベンチマーク結果は分野によって明暗が分かれている。コーディング関連のTerminal Bench 2.1では86.6を記録し、Claude Fable 5の84.6を上回った。研究論文の理解・改善能力を測るPaperBenchでは93.0、指示追従性を測るIFBenchでは82.8を達成している。またSWE-bench ProではGPT-5.6 Solを上回るとされる一方、コーディングエージェント向けの評価であるDeepSWE 1.1など複数のベンチマークでは、Claude Fable 5・GPT-5.6 Solの両モデルに後れを取る結果も報告されており、一様に競合を凌駕しているわけではない。
自律開発と論文改善のデモ
今回の発表で特に注目されたのは、モデルの自律稼働能力を示すデモだ。Qwen3.8-Maxは16日間に及ぶ完全自律運用のなかで、265件のコミットと127件のプルリクエストを積み上げたという。さらに、約125時間をかけてある研究論文の手法を再現したうえで、独自の改善案を検証・実装し、数学ベンチマークAIME24において元論文の結果である49.58%を52.29%まで引き上げることに成功した。このほか企業法務業務やWebデザイン領域でも実力を発揮したとされ、単なるコード生成にとどまらない長時間・自律的なタスク遂行能力をアピールする内容となっている。
提供方法と今後の展望
Qwen3.8-MaxはすでにQwen StudioおよびQwenCloud上で提供が始まっており、API料金は100万トークンあたり入力2ドル、出力6ドルに設定されている。来週予定されているオープンウェイト版の公開は、AnthropicのClaudeやOpenAIのGPTシリーズといった欧米勢の商用モデルに対し、中国発のオープンモデルが性能面で対抗し得ることを示す試みとして注目される。今回の発表を受けてAlibaba株が上昇したことも、AI開発競争における同社のポジション強化への市場の期待を反映していると見られる。