決算概要
Qualcommは7月29日、2026年度第3四半期(4-6月期)決算を発表した。売上高は99億5000万ドルとアナリスト予想の約96億9000万ドルを上回ったものの、前年同期比では4%減となった。非GAAPベースの1株当たり利益は2.21ドルで、市場予想の2.22〜2.23ドルをわずかに下回り、純利益は前年同期比25%減となった。減益の主因は、メモリをはじめとする部材コストの上昇と、それに伴うスマートフォン向けチップ事業の落ち込みだ。チップ部門であるQCTのハンドセット向け売上高は前年同期比20%減の50億9000万ドルにとどまり、中国スマートフォン市場の需要低迷とメモリ供給の逼迫が響いた。
値上げの背景とCEOの説明
Qualcommは決算発表と合わせ、9月1日から半導体チップの価格を全面的に引き上げると表明した。顧客企業には二桁パーセント台の値上げを通知する書簡が送付されたという。Cristiano Amon CEOは「コストが上昇したのだから、価格も上昇する」と述べ、ウェハー製造、組立、テスト、先端パッケージング、メモリなど、半導体産業全体でコストが上昇していることを理由に挙げた。特にメモリ価格の高騰が近い将来における値上げの主因とされ、Amon氏は消費者がすでに、価格上昇を受けて低価格帯のプレミアム端末を選んだり、旧端末を使い続けたりする傾向を強めていると指摘した。同社はこの値上げについて、業界全体の供給網の逼迫に対応する「一時的・短期的」な措置だと説明している。Snapdragon搭載スマートフォンをはじめとする端末価格の上昇につながる可能性がある。
事業セグメント別の動向
スマートフォン向けチップ事業が低迷する一方、Qualcommの多角化戦略は成果を上げつつある。自動車向け事業の売上高は前年同期比61%増の15億9000万ドルと過去最高を記録し、IoT・産業機器向け事業も9%増の18億3000万ドルとなった。特許ライセンス事業のQTLは12億8000万ドルの売上を計上している。同社は自動車事業について2029年までに売上高100億ドルを、データセンター事業については2027年までに50億ドルを目指すとしており、スマートフォン依存からの脱却を進めている。
今後の見通し
Qualcommは2026年度第4四半期(7-9月期)の見通しとして、売上高97億〜105億ドル、QCT売上高84億〜90億ドル、非GAAP1株当たり利益2.05〜2.25ドルを提示した。今回のガイダンスは市場予想に対してやや控えめな内容と受け止められている。Appleなど大口顧客からの需要減少が見込まれる中、メモリ価格の高騰がいつまで続くかが今後の業績を左右する焦点となる。値上げによってQualcomm自身の収益性は改善が期待されるものの、川下のスマートフォンメーカーや消費者への価格転嫁がどこまで進むかは不透明であり、業界全体の価格動向への波及が注目される。