概要

GNUコンパイラコレクション(GCC)の運営委員会は2026年7月、大規模言語モデル(LLM)から派生した著作権保護されたコードの提出を拒否する新方針を正式に採択した。焦点となるのは「AIツールを使ったかどうか」ではなく、著作権上「重要」とみなされるLLM生成資料が最終的なコントリビューションに含まれているかどうかという点である。目安としては約15行以上のLLM生成コードが対象とされ、ChatGPTやGitHub Copilotなどによって生成・編集されたコードも方針の対象に含まれる。GCCはGPLv3のもとでライセンスされており、コントリビューションの著作権的な出所を明確に保てないコードを取り込むことは、プロジェクト全体のライセンス整合性を脅かしかねないという懸念が今回の方針採択の背景にある。

方針の対象と例外

新方針では、単にLLM生成コードをコントリビューターが手作業で編集・改変しただけでは、方針の適用対象から外れない。成果物が依然としてLLM出力に基づいている場合は、著作権的に重要とみなされる限り拒否の対象となる。一方で、限定的な例外も設けられている。1つは、法的に重要でない些細な修正であり、LLMを使用した旨が明確に開示されている場合はコントリビューションとして認められる。もう1つは、著作権保護されたAI生成のテストケースであり、これは引き続き受け入れ可能とされている。

背景と意義

AI生成コードの著作権的な位置づけを巡っては、各国の著作権法や判例が定まっていない部分も多く、オープンソースプロジェクトにとっては悩ましい課題となっている。GCCのようにGPLv3という厳格なコピーレフトライセンスを採用するプロジェクトでは、コントリビューションの著作権の所在が不明確なコードを取り込むと、将来的にライセンス違反や権利関係のトラブルにつながるリスクがある。今回の方針採択は、こうしたリスクを未然に防ぐための予防的措置と位置づけられ、主要オープンソースプロジェクトがAI生成コードにどう向き合うべきかを示す先行事例として注目されている。他の大規模OSSプロジェクトも今後、同様の方針を検討する可能性がある。