概要
データセンター業界の調査機関Uptime Instituteが7月29日に発表した第16回年次グローバルデータセンター調査によると、企業ITワークロードのうちコロケーションやクラウド、SaaSなどサードパーティ施設で稼働する割合が46%に達し、自社データセンター(44%)を初めて上回った。残る10%はITルームやサーバーキャビネットなど小規模な自社設備が占めている。この調査は1,600人以上の回答者、800以上のデータセンター運営事業者を対象に実施されたもので、Uptime Instituteは2028年までにこの差が48%対42%へとさらに拡大すると予測している。企業がクラウドやコロケーションへワークロードを移管する流れは長年指摘されてきたが、自社施設の比率を上回ったのは今回の調査が初めてとなる。
AIが押し上げるコストと容量予測の不確実性
背景にあるのはAI需要によるインフラ需要の急拡大だ。経営陣の79%が依然としてコストについて何らかの懸念を示しており、コストを「最大の懸念事項」に挙げる割合こそ前年の44%から38%へと低下したものの、懸念自体が解消されたわけではない。より顕著なのは容量予測の難しさで、将来の需要を見通せないと答えた事業者は76%に上り、前年から大きく上昇した。あわせて電力供給の確保についても64%が懸念を表明しており、Uptime Instituteの幹部は、AIが「コスト、容量予測、電力、人材という複数の別々のリスクを圧縮している」と指摘する。事業者はAI訓練向けの高密度クラスターと、従来型のCPUベースのエンタープライズワークロードという性質の異なる2つの市場に同時対応せざるを得ず、段階的な設備投資や柔軟な計画立案に頼る動きが強まっているという。
ラック電力密度と障害コストの上昇
AI関連ワークロードの拡大は、物理インフラの設計にも表れている。モーダル(最頻値)のラック電力密度は2025年の9kWから2026年には11kWに達し、平均値も7.5kWから7.8kWへと上昇した。120kWや1MW級という極端な高密度ラックを導入する事業者も現れているが、30kWを超えるラックを持つ事業者は19%から24%への増加にとどまり、大多数の施設ではまだ少数派である。一方、障害発生時の経済的インパクトは深刻さを増しており、最大障害の復旧コストが10万ドル以上に達したケースは57%から71%へと急増した。重大な障害を過去3年以内に経験した事業者自体は前年より3ポイント減の47%とやや改善しているが、ひとたび障害が起きた際の損失規模は拡大している。
深刻化する人材不足とサステナビリティへの対応
インフラの拡大ペースに人材確保が追いついていない実態も浮き彫りになった。有資格候補者の確保に難しさを感じる事業者は53%に上り、前年の46%から悪化した。特に電気系統の技術者とジュニアクラスの運用スタッフの採用が難航しているという。一方でサステナビリティ面では、水使用量を追跡する事業者が47%から53%に増加するなど一定の進展が見られるものの、サプライチェーン全体を含むスコープ3排出量を追跡している事業者はわずか21%にとどまり、環境負荷の全体像把握はまだ発展途上にある。Uptime Instituteの調査結果は、AI時代のインフラ需要が単なる規模拡大にとどまらず、コスト構造、人材戦略、電力調達のあり方までも根本から問い直していることを示している。