概要
Qualcommは7月29日、AIネイティブなソフトウェア基盤を手がけるModular Inc.の買収を完了したと発表した。今年6月に合意していた全株式取引で、評価額は約39.2億ドル(Modularの株主に対し最大1,920万株のQualcomm普通株式を発行)。Qualcomm CEOのCristiano Amon氏は「ModularのAIネイティブなソフトウェアプラットフォームとQualcomm Technologiesの主力ソリューションを組み合わせることで、高性能かつ電力効率に優れたAIソリューションを提供する能力が加速する」と述べ、開発者や顧客に真の選択肢を与え、業界の競争を促進するものだと強調した。Modular共同創業者兼CEOのChris Lattner氏は「Qualcommに加わることで、Modularのソフトウェアの革新をより幅広いAI・コンピューティングプラットフォームに届けるスケールを得られる」とコメントしている。
技術的な詳細
Modularは、CPU・GPU・NPUやカスタムシリコンなど多様なハードウェアアーキテクチャ上で生成AI・エージェントAIワークロードを統一的に最適化・デプロイできるソフトウェアスタックを提供してきた企業で、開発者がハードウェアごとにコードを書き直す必要をなくすことを目指している。今回の統合により、Qualcommの高性能・低消費電力なコンピューティング技術とModularのソフトウェア最適化技術が組み合わさり、データセンターからエッジ、パーソナルデバイス、産業用AIアプリケーションまで幅広い領域での展開が可能になる。主力製品であるMojo、MAX、Modular Cloudは、それぞれ独立したブランド・製品として継続され、Qualcommによる投資拡大を受けて発展していく方針が示された。
今後の体制と狙い
買収完了に伴い、Lattner氏はQualcommの上級副社長(Executive Vice President)としてAdvanced AI Software and Platforms部門を率いる立場に就任した。両社は、CPU・GPU・NPU・カスタムシリコンを横断するヘテロジニアスコンピューティングを見据え、オープンソースを軸としたアプローチを重視する姿勢を示している。今回の統合は、Qualcommのモバイル半導体分野での強固な地位と、Modularが持つ評価の高いAIインフラソフトウェア技術を組み合わせるものであり、Qualcommはデータセンター向けAIチップ市場やエッジAI分野での存在感を一段と高める狙いがあるとみられる。