概要

コカ・コーラは7月27日、傘下の乳製品ブランドFairlifeへのランサムウェア攻撃によりデータ漏えいが発生したことを正式に確認した。同社は7月16日、この攻撃を受けて米国内4カ所のFairlife生産施設での稼働を一時停止したことをすでに公表していたが、今回の声明でデータ窃取の被害も認めた形だ。攻撃を行ったのはランサムウェア集団Anubisで、7月20日に自らのリークサイト上でコカ・コーラとFairlifeを被害者として掲載していた。Anubisは身代金支払いの交渉期限を設け、支払いが行われなければ窃取したとする約1TBの機密情報を公開すると予告しており、その後実際にデータを公開したとされる。

Anubisとは何か

Anubisは2024年12月から活動が確認されているランサムウェア集団で、リークサイト上には現在約100の被害組織が掲載されている。同集団は暗号化とデータ窃取を組み合わせた「二重恐喝」型の手口を採用しており、被害企業のシステムを暗号化するだけでなく、事前に窃取したデータの公開をちらつかせて金銭を要求する。特徴的なのは、ファイルを完全に削除し復旧を不可能にする「ワイパーモード」を備えている点で、身代金交渉が決裂した場合に被害者へのさらなる圧力材料として使われる可能性がある。

被害の実態とコカ・コーラの対応

Fairlifeの生産システムは攻撃発覚後に一時停止に追い込まれたが、声明時点で大部分の稼働は再開されているという。既存の在庫があったことから小売店での製品供給への影響は限定的で、製品の品質や安全性への影響もないとしている。一方でコカ・コーラは、具体的にどのカテゴリーの情報が漏えいしたのかについては詳細を明らかにしておらず、「今回の事案が会社の財務状況や業績に重要な影響を及ぼした、または及ぼす可能性は合理的に見て低い」とのみコメントしている。なお、ランサムウェア集団が身代金交渉を有利に進めるために窃取データの重要性を誇張する傾向があることも指摘されており、Anubisが主張する1TBという規模やその内容の実態については、今後の検証が待たれる。

今後の焦点

今回の事案は、大手消費財メーカーの傘下ブランドであっても製造ラインを直接止めるほどの実害を及ぼしうるランサムウェア攻撃の脅威を改めて示した。Anubisのような「暗号化+データ窃取+ワイパー」の複合的な手口を持つ攻撃者に対しては、バックアップ体制の強化に加え、サプライチェーン全体でのセキュリティ管理が今後の課題となる。コカ・コーラ側が漏えいデータの詳細を開示していないため、実際にどのような個人情報や機密情報が影響を受けたのかは引き続き注視が必要だ。