概要
ServiceNow AI Platformに存在する未認証のサンドボックスエスケープ脆弱性CVE-2026-6875(CVSS 9.5)が、実際の攻撃キャンペーンで悪用されていることが明らかになった。この脆弱性は、認証されていない攻撃者がネットワークアクセスのみでスクリプトサンドボックスを脱出し、対象インスタンス上で任意のコードを実行できるというもので、脅威インテリジェンス企業Defusedによれば、パッチ公開からわずか数日後の週末には実悪用が確認されたという。ServiceNow AI Platformは年間1000億件を超えるワークフローを処理し、フォーチュン500企業の85%で10万を超えるエンタープライズAIアプリケーションを支える基盤であり、影響範囲の大きさから業界全体で警戒が高まっている。
脆弱性の発見と開示の経緯
この脆弱性はセキュリティ企業Searchlight Cyberの研究チームが2026年4月上旬に発見し、ServiceNowに報告した。ServiceNowは報告を受けて速やかに対応し、翌日にはホスト型(ServiceNowが運用するクラウド)インスタンス向けの更新を配布、自社ホスト型(オンプレミス・セルフホスト)顧客向けにも順次パッチを提供してきた。脆弱性の技術詳細は7月13日に公開され、Searchlight Cyberも概念実証(PoC)コードを合わせて公表した。この開示から間もなく、悪用の試みが観測され始めている。
悪用の手口と影響範囲
Defusedのセキュリティ研究者チームによると、最初の悪用の試みは公開直後の金曜日に現れ、週末にかけて実際の悪用行為へと発展した。注目すべきは、同じ未認証エンドポイント(/assessment_thanks.do)を標的としており、当初Defusedは攻撃者が使用したペイロードが公開PoCとは異なるルートでコード実行プリミティブに到達していると報告していたが、後の分析により実際にはSearchlight Cyberが公開したPoCと同一のペイロードであったことが判明した。影響を受けるのは主に自社ホスト型インスタンスであり、ServiceNowは「自社がホストするインスタンスにおいて、この活動に関連する証拠は観察されていない」としている。
対応策と今後の展望
ServiceNowは、まだパッチを適用していない自社ホスト型インスタンスの顧客に対し、7月に提供された更新プログラムを至急適用するよう強く呼びかけている。同社は必要に応じて顧客の対応を支援する姿勢も示した。さらに、将来的な同種のサンドボックスエスケープのリスクを低減する新機能「Guarded Script」の導入も進めている。今回のケースは、脆弱性の技術詳細やPoCの公開が、パッチ未適用の環境に対する攻撃の引き金となり得ることを改めて示すものであり、企業には開示から悪用までのタイムラインの短縮を前提とした迅速なパッチ運用が求められている。