概要
Bloombergは7月17日、アップルと米司法省(DOJ)が、iPhoneをめぐる独占禁止法訴訟について早期の和解協議に入ったと報じた。アップルは今年に入り複数回にわたり和解案を提示し、DOJとの間で合意文書の草案をやり取りしているという。ただし、両者が最終的な合意に達する保証はないと報道では注記されている。
この訴訟は2024年にDOJがアップルを提訴したもので、iPhoneを軸としたプラットフォームに顧客を囲い込む反競争的行為の歴史があると主張している。具体的な争点として、スーパーアプリ(幅広い機能を一つのアプリに統合するサービス)の制限、クラウドストリーミングゲームの制限、純正メッセージアプリの優遇、サードパーティ製のスマートウォッチやデジタルウォレットに対する機能制限などが挙げられている。アップルによる訴訟却下の申し立ては昨年退けられており、これまでのところ公開裁判の日程は決まっていない。
和解協議の焦点
アップルは提訴以降、DOJが指摘する懸念に対応する形で複数の方針転換を行ってきた。具体的には、RCSメッセージングのサポート追加、ミニアプリプログラムの提供、NFC機能のサードパーティへの開放などが挙げられ、これらの対応がDOJ側の主張を弱める材料になっているとの見方もある。報道によれば、DOJが指摘する5つの争点領域のうち4つについてはすでに一定の対応が取られており、残る焦点はApple WatchとAndroid端末との相互運用性だとされる。
背景と今後の見通し
和解協議が加速している背景には、ティム・クック氏のCEO退任というタイミングも指摘されている。クック氏は2026年8月31日付でCEOを退任し、翌9月1日付でハードウェアエンジニアリング担当上級副社長のジョン・ターナス氏が新CEOに就任する予定で、クック氏は執行会長(エグゼクティブチェアマン)に転じる見通しだ。訴訟をこの経営交代前に決着させることができれば、ターナス新体制に法的リスクを持ち越さずに済むことになる。また、トランプ政権下のDOJは長期化する訴訟よりも和解による迅速な決着を志向しているとも報じられており、双方にとって早期合意への動機が重なっている状況だ。もっとも、Apple Watchの相互運用性のように依然として隔たりの大きい論点も残っており、和解が実際に成立するかどうかは今後の交渉の行方次第となる。