概要

中国のスタートアップMoonshot AIは7月17日、新モデル「Kimi K3」を発表した。約2.8兆パラメータを持つMoE(Mixture of Experts)型のオープンウェイトモデルで、これまでで最大規模のオープンソースAIモデルとされる。同社は、長期にわたる複雑なコーディングタスクや知識労働、推論タスク向けに設計したと説明しており、「オープンなフロンティア知能」の実現を掲げている。リリースに先立ちFinancial Timesが匿名情報源を引用して報じていた段階では、パラメータ数は2兆〜3兆規模、性能はAnthropicのOpus 4.8に匹敵すると見込まれていたが、実際の発表でもこの予測に近い規模・性能で登場した形だ。

技術的な詳細

Moonshot AIによれば、Kimi K3はコーディングや推論に関する特定の評価ベンチマーク(Program Bench、SWE Marathonなど)において、AnthropicのClaude Opus 4.8やOpenAIのGPT-5.5を上回る結果を示したという。一方で同社自身も、総合的な性能では依然として最強クラスのクローズドソースモデルには及ばないと認めている。パラメータ規模では、中国発の既存オープンモデルであるDeepSeek V4 Pro(1.6兆パラメータ)やZhipu AIのGLM 5シリーズ(7440億パラメータ)を大きく上回っており、オープンウェイトモデルとしては世界最大級となる。

背景と今後の展望

今回の発表は、Zhipu AIが1か月前にGLM-5.2をリリースするなど、中国のAI開発企業間でオープンソースモデルをめぐる競争が激化している中で行われた。企業の間ではOpenAIやAnthropicといった高額なクローズドソースモデルへの依存を見直す動きがあり、データセキュリティへの懸念も相まって、DeepSeekやZ.ai(Zhipu AI)などのオープンソース代替への関心が高まっているとされる。Kimi K3の登場は、こうした流れをさらに後押しするとともに、米中のAI開発力格差が縮小しつつあることを象徴する動きとして受け止められている。