概要
2026年7月16日、AWSのコンテンツ配信サービスCloudFrontで大規模な障害が発生し、世界中の複数のウェブサイトやオンラインサービスが数時間にわたりオフラインとなった。障害は太平洋標準時間の午前1時45分(UTC午前9時45分)ごろに発生し、AI開発プラットフォームのHugging Face、UKナショナルロッタリー、ゲーム「Fallout 76」など、多くのAWS顧客のサービスで5xxエラーが多発した。AWSは午前3時18分(PDT)に進捗状況を更新し、その後完全復旧を報告している。
技術的な詳細
今回の障害は、CloudFrontの「VPC Origins」機能を利用する顧客に限定されていた点が特徴だ。VPC Originsは、プライベートなVPC内に配置したオリジンサーバーに対してCloudFront経由で安全に接続できるようにする機能である。AWSの説明によれば、根本原因はこのVPCオリジンへの接続を管理する内部フリートが制約を超過したことにあった。具体的には、ネットワークプロセッサへのルーティング構成を配信するシステムが更新された構成データを正しく読み込めなくなり、結果としてVPCオリジン接続のルーティングに影響が及んだという。なお、VPC Origins以外のオリジンタイプを使用している顧客は今回の障害の影響を受けなかった。
対応と復旧
AWSは障害発生中、影響を受けた顧客に対し一時的な回避策として他のオリジンタイプへの切り替えを推奨していた。その後、根本原因への対処が完了し、AWSは問題の完全解決を発表。回避策として設定を変更していた顧客も、元の設定へ安全に戻せるとしている。
今後の展望
業界関係者からは、クラウドサービスへの統合が進むにつれて、単一のコンポーネント障害が波及する範囲がますます拡大しているとの指摘が上がっている。CloudFrontのような基盤インフラで発生した障害が、AI開発基盤からエンターテインメント、公共サービスまで多岐にわたる分野に同時に影響を及ぼした今回の事例は、クラウド依存が進む現代のサービス設計におけるリスクを改めて浮き彫りにした。