概要

Google DeepMindは、当初6月を予定していたGemini 3.5 Proの正式発表を7月17日に延期した。背景にあるのは、数学的推論やコーディング性能の低下、そして競合に対する競争力の位置付けへの内部的な懸念だという。同社は既存のGemini 2.5 Proの基盤アーキテクチャを丸ごと廃棄し、ゼロからの事前学習サイクルによる「フルアーキテクチャの刷新」に踏み切った。この発表と時を同じくして、Noam Shazeer氏やJohn Jumper氏といったDeepMindの主要研究者がOpenAIやAnthropicへ流出したと伝えられ、Alphabetの時価総額は一時2250億ドル失われる急落に見舞われた。

技術的な詳細

刷新されたアーキテクチャでは、コンテキストウィンドウが200万トークンへと拡張されるほか、「Deep Think Reasoning Layer」と呼ばれる新たな推論層が導入される。さらに、タスクを自律的にこなす自動ワークフロー機能や、SVG・3Dグラフィックス・フロントエンド設計といった視覚的表現力の強化も盛り込まれる見込みだ。これらは、既存モデルで指摘されていた数学的推論やコーディング面での弱点を補い、競合モデルに対する優位性を取り戻すことを狙ったものとみられる。あわせて、ライバルであるDeepSeekが7月24日を期限とする動きを見せていることも伝えられており、開発者コミュニティはGoogleとDeepSeek双方の動向に注目している。

人材流出と市場への影響

今回の延期と並行して報じられているのが、DeepMindからの主要研究者の流出だ。Transformerアーキテクチャの共同考案者として知られるNoam Shazeer氏や、AlphaFoldの開発を主導したJohn Jumper氏らがOpenAIやAnthropicへ移籍したとされ、AI開発競争における人材獲得の激しさを改めて浮き彫りにした。こうした人材流出とモデル投入の遅れが重なったことで市場の不安が広がり、Alphabetの時価総額は一時2250億ドル規模で急落した。基盤モデルの性能競争が企業価値に直結する状況が鮮明になった形だ。

今後の展望

Googleにとって、7月17日に予定するGemini 3.5 Proの投入は、性能面での巻き返しと人材流出による動揺の払拭を同時に果たす正念場となる。今回の全面的なアーキテクチャ刷新が数学的推論やコーディング性能の底上げにつながるかどうか、またDeepSeekの7月24日の動きとどう競り合うかが、今後のAI開発競争の行方を左右しそうだ。