概要
Claudeを開発するAnthropicが、サムスン電子と自社専用のAIアクセラレータチップ製造をめぐって初期協議を行っていると、BloombergやThe Informationなど複数のメディアが報じた。検討されているのはサムスンの2nmプロセス技術と先進パッケージング能力で、狙いはNvidia GPUへの依存低減にあるとみられる。同様の協議はMetaとの間でも進んでおり、サムスンのファウンドリ事業にとって大型受注獲得のチャンスとなる可能性がある。
協議の内容と技術詳細
報道によれば、プロジェクトはまだ初期段階にあり、チップの機能や性能目標、Anthropicのサーバーインフラ内でどのような役割を担うかは未定という。複数のチップ設計企業との協議も並行して進められており、詳細な設計フェーズにはまだ入っていない。Bloombergの取材に対しAnthropicは、AmazonのTrainium、GoogleのTPU、Nvidia GPUを引き続き計算基盤の柱とする方針を示す一方、カスタムチップ計画そのものについてはコメントを控えている。
Anthropicはメモリ製品の供給能力についてもサムスンに関心を示しているとされる。同社は総額約500億ドル規模のAIデータセンター建設計画を進めており、そのうち半分程度をASICやDRAM、NANDフラッシュメモリなどのハードウェア調達に充てる見込みだという。
背景
Anthropicは2026年5月、総額650億ドル規模のシリーズH資金調達時に、サムスン電子・SK Hynix・マイクロンの3社を「戦略的インフラパートナー」に指定していた。このうちファウンドリ事業を持つのはサムスンのみで、以前からAIチップ製造の有力候補と目されていた。さらに同社は元OpenAIのカスタムチップ開発チームでハードウェアエンジニアを務めていたClive Chanを採用しており、カスタムシリコンへの関心の高さがうかがえる。
一方Metaは、次世代のMeta Training and Inference Accelerator(MTIA)チップの製造をサムスンに委託する見通しで、契約規模は約65億ドル相当と推定される。これまでMTIAの第1・2世代はTSMCが製造してきたが、TSMCの先端プロセス生産能力がAMD・Apple・Nvidiaなど大口顧客で埋まっていることが背景にあるとみられる。
今後の見通し
サムスンは2027年からのTesla向けAIチップ製造契約(165億ドル規模)をすでに獲得しており、AnthropicやMetaとの案件が加われば、低迷が続いていたファウンドリ事業の採算改善に寄与する可能性がある。ただしAnthropic側の計画はまだ交渉の初期段階であり、実際の量産に至るかどうかは今後の詳細協議の行方次第となる。