概要

EU最高裁にあたる欧州司法裁判所(Court of Justice)は7月2日、GoogleとAlphabetによるAndroidの独占的地位濫用を巡る41億ユーロ(約47億ドル)の制裁金について、両社が申し立てた最終上訴を棄却した。この裁定は法的拘束力を持ち、これ以上の上訴手段は残されていないため、EU競争法史上最大級となる制裁金がここに確定した。判決文には「General Court(EU一般裁判所)の判断に対するGoogleおよび親会社Alphabetの上訴を棄却し、Android OSに関連するGoogle Searchの市場支配的地位濫用に対して科された制裁を確定する」との文言が記されている。

これまでの経緯

事の発端は2013年、業界団体FairSearchが欧州委員会に申し立てた苦情に遡る。これを受けて欧州委員会は2018年、GoogleがAndroidを利用して検索市場での支配的地位を強化していたとして43億ユーロ規模の制裁金を科した。Googleはこれを不服として一般裁判所に上訴したが、2022年の判決では委員会の判断の大部分が支持されつつ、制裁金額は41億ユーロ(約47億ドル)にわずかに減額された。今回の司法裁判所の裁定は、この2022年の一般裁判所判決に対するGoogle側の最終上訴を退けたもので、Case C-738/22 Pとして審理されていた。

認定された3つの反競争的行為

欧州委員会が問題視し、各審級で一貫して認定されてきたのは主に次の3つの行為である。

  • 端末メーカーがPlay Storeへのアクセス権を得る条件として、Google検索とChromeのプリインストールを義務付けていたこと
  • 端末メーカーや通信キャリアに対価を支払い、Google検索を排他的にプリインストールさせていたこと
  • メーカーがGoogleアプリの搭載を望む場合に、Androidの非公式フォーク版(Android互換だが独自仕様のバージョン)の採用を事実上禁じていたこと

これらの行為により、GoogleはAndroidエコシステムを通じて検索エンジン市場での支配的地位を不当に強化していたと判断された。

Googleの反応と今後の影響

Googleは今回の裁定について、Androidを「オープンで相互運用可能、かつ無償」であり続けさせるための自社の投資の意義が正当に評価されていないとの立場を示した。一方で、2018年の委員会決定を受けてすでに事業慣行の是正を行っており、今回の確定判決によって新たな運用変更が必要になるわけではないとしている。

今回の裁定が最終的に確定したことで、この訴訟で争われてきた法的な不確実性は解消された形だが、その余波はGoogleにとってこれで終わりとはならない可能性がある。競合他社や、当該の反競争的行為によって不利益を被ったとする端末メーカーなどが、今回の確定判決を根拠に別途の損害賠償訴訟を起こす道が開かれたと見られており、Googleは今後さらなる法的・金銭的リスクに直面する可能性がある。