概要
MetaがAIインフラの余剰キャパシティを外部企業に販売するクラウド事業「Meta Compute」の立ち上げを計画していることが、Bloombergの報道で明らかになった。同社はこれまでAI関連インフラへ総額1,829億ドルを投じてきたが、自社サービスやモデルへの需要は期待ほど伸びていないとされる。余剰設備を収益化する手段として、外部向けコンピューティング販売が浮上した形だ。この報道を受けてMetaの株価は10%以上急騰した一方、CoreWeaveやNebiusといったAIクラウド(ネオクラウド)専業各社の株価が約15%下落し、IRENも約6.5%下落するなど急落し、市場における競争激化への警戒感を示した。
サービスモデルと提供内容
「Meta Compute」は大きく二つのモデルを検討している。一つはCoreWeaveが手がけるような生のコンピューティングリソースの直接販売、もう一つはAWS BedrockやAzure AI Servicesに類似したホスト型AIモデルアクセスサービスだ。後者では、MetaがリリースしたばかりのMuse Sparkをはじめとする自社モデルを同社インフラ上で提供する形が想定されている。事業を主導するのは、インフラ責任者のSantosh Janardhan、AIラボ責任者のDaniel Gross、そしてプレジデントのDina Powell McCormickの3名とされる。
背景:巨大インフラと先行事例
Metaはルイジアナ州とオハイオ州に大規模データセンターを建設しており、特にオハイオ州の施設は「マンハッタン並みの規模」と形容されるほどで、2026年中の稼働開始が見込まれている。こうした膨大なインフラ投資に対してMetaの自社AIモデル・サービスへの需要が十分に追いついていないことが、今回の余剰コンピューティング販売計画の背景にある。
同様のビジネスモデルはSpaceXのxAI部門が数週間先行しており、2026年5月にはColossus 1データセンターの余剰キャパシティをAnthropicやGoogle、Reflection AIへ貸し出す契約を締結している。大規模インフラ保有者が「コンピューティングの貸し出し」を主要な収益源として位置づける動きが広がりつつある。
市場への影響と課題
Metaのクラウド参入報道がCoreWeaveやNebiusなどのAIクラウド専業各社の株価を押し下げたことは、市場が競争激化を真剣に受け止めている証左だ。一方で、AIインフラ投資競争がハードウェアの減価償却や不透明なエンドユーザー需要に依存した「バブル」を生んでいるとの懸念も指摘されている。Metaが自社モデルの需要不振という課題を、インフラのコモディティ化で補う戦略が中長期的に機能するかは、今後の需要動向に左右されることになる。