概要

2026年6月9日、インド・デリーに設置された第三者データセンター施設で火災が発生し、ネットワーク機器の緊急シャットダウンが余儀なくされた。この事故を発端として、Google Cloudのサービス障害がデリーを中心に、チェンナイやムンバイを含むインド主要都市に及び、数日にわたって影響が継続した。Googleの公式ステータス更新によれば、6月11日時点でも一部顧客はレイテンシの増加やパケットロスを経験しており、完全な復旧には至っていない状況だ。

技術的な詳細と影響範囲

火災によってデリーのPoint of Presence(POP)が孤立した結果、地域内のネットワーク容量が大幅に低下した。影響を受けたのは主にHybrid ConnectivityおよびVirtual Private Cloud(VPC)を利用する顧客で、通信の断続的な遅延・非最適ルーティングが報告されている。6月11日の公式更新では「インド各都市および地域ISPを合わせた需要が利用可能な容量を超過している」と説明されており、復旧を急ぐものの供給が追いついていない状態が続いている。

Googleの対応策

Googleは複数の緩和策を実施している。まず、影響を受けた施設から別ルートへのトラフィック迂回を行い、バックボーンネットワーク容量の最適化を進めた。さらにデリーPOPインフラの拡張工事にも着手し、一部のピアリングパートナーを新たな経路に移行することで地域全体の耐障害性向上を図っている。6月11日時点で一部顧客は状況の改善を確認しており、Google側は施設の完全復旧を見込んで6月15日に次回のステータス更新を予定していた。

今後の見通し

今回の事故は、クラウドインフラの地理的リスク分散と第三者施設への依存に改めて注目を集めるきっかけとなった。デリーPOPの増強・ピアリングパートナーの再配置など、Googleが講じた対策は短期的な復旧にとどまらず、インド地域の長期的な冗長性強化への布石とも読める。Hybrid ConnectivityやVPCを活用するエンタープライズ顧客にとっては、今後の障害対策としてマルチリージョン構成の検討が一層重要になるだろう。