概要

SpaceXは2026年6月16日、AIコーディングアシスタント「Cursor」を開発するサンフランシスコのスタートアップAnysphereを全株式交換により約600億ドル(約9兆円)で買収すると発表した。取引はQ3 2026中のクローズを予定しており、CursorはSpaceXの完全子会社となる。SpaceXが数日前に実施した750億ドルのIPO以後では最大規模のベンチャー企業買収となる。

Cursorとはどのような企業か

CursorはCEOのMichael Truellと3人のMIT出身の共同創業者が2022年に設立した。自律的なコード生成AIを活用した「バイブコーディング(vibe coding)」を広く普及させたプラットフォームとして知られており、「野心的なソフトウェアを構築するためのコーディングエージェント」と自称する。Stripe・Adobe・NvidiaなどをはじめとするIT大手が実際に採用しており、エンタープライズ向けにも浸透している。

買収の戦略的背景

業界アナリストのAdam Crisafulliは、SpaceXがGrok AIのコーディング分野での競争力を高めることが主な目的だと指摘している。現在SpaceXのAI事業はAnthropicやOpenAI、Google、Metaなどのフロンティアモデル各社と比べて後れをとっており、Cursorの技術と顧客基盤を取り込むことで差を縮める狙いがある。SpaceXのIPOによって時価総額は2.7兆ドルを超え、AmazonやMetaをも上回る規模となっており、そのリソースを背景にAI分野への積極投資が続いている。

共同AIモデルと今後の展開

Cursorのチームはすでにこの件への期待を公式に表明している。CEOのMichael Truellは「SpaceXがCursorを買収するオプションを行使したことを発表できて光栄だ。世界で最も役立つAIモデルを構築するという目標のもと、全株式交換で取引が完了する」とコメントしている。また両社はすでに共同でAIモデルの訓練を進めており、近日中にリリースする予定があることも明らかにされた。SpaceXがAIコーディングとロケット・宇宙開発という異色の組み合わせをどのように融合させていくかが、今後の注目点となる。