概要
欧州最大のスタートアップ・テクノロジー展示会「VivaTech(ビバテック)2026」が6月17日(現地時間)、パリのExpo Porte de Versaillesで開幕した。今年で10周年の節目を迎える同イベントは6月17〜20日の4日間にわたって開催され、世界各地から180,000人以上の参加者と4,000社以上の出展企業が集結する大規模なイベントとなっている。人工知能(AI)、ロボティクス、そして欧州のデジタル戦略をめぐる議論が中心的なテーマとして掲げられており、スタートアップから大企業、政策立案者まで幅広い関係者が一堂に会する場となっている。
Samsungが示す「AIによるコネクテッドケア」の未来
VivaTech 2026では、Samsungが「AI-Powered Connected Care(AIを活用したつながるケア)」構想を披露し、注目を集めた。同社はヘルスケアとウェルネスの分野においてAIデバイスが果たす役割を前面に打ち出し、スマートフォン・ウェアラブル・家電が連携してユーザーの健康状態を継続的に把握・支援するエコシステムのビジョンを提示した。AI技術をハードウェアとサービスに深く統合することで、個人に最適化されたケア体験を提供するというアプローチは、欧州市場における同社の戦略的方向性を示すものとも受け取られている。
10年間の歩みと欧州テックエコシステムの現在地
2016年にフランスの広告大手Publicis Groupe(ピュブリシス・グループ)とLes Echos(経済紙)が共同で創設したVivaTechは、設立からわずか10年で欧州を代表するテクノロジーイベントへと成長した。スタートアップエコシステムの育成と大企業とのオープンイノベーション推進を掲げる同イベントは、欧州のデジタル競争力を発信する場として年々存在感を高めてきた。10周年となる2026年版では、AI規制や欧州独自の技術主権(テクノロジー・ソブリンティ)をめぐる議論も重要なアジェンダに位置付けられており、欧州連合(EU)のAI政策の行方を占う意味でも注目が集まっている。
今後の見どころ
VivaTech 2026は6月20日まで続き、この期間中に多くのスタートアップがプロダクトデモや投資家との商談を行うほか、著名なテックリーダーや政策立案者によるキーノートセッションも予定されている。欧州のスタートアップが直面するファイナンス環境やグローバル競争への対応、そしてAI時代における人材育成といったテーマが引き続き議論の中心になると見られる。