概要
Fox Corporationは2026年6月15日、ストリーミングプラットフォームのRokuを約220億ドル(企業価値ベース)で買収することで合意したと発表した。買収価格はRoku株1株あたり160ドルで、現金96ドルに加え0.9693株のFox Class A株を交付する株式・現金混合方式を採る。取引完了後はFox既存株主が合併会社の約73%、旧Roku株主が約27%を保有する構成となる。取引のクローズは2027年上半期を予定しており、両社の取締役会はすでに承認している。Fox CEOのラックラン・マードック氏はこれを「Foxにとって画期的な瞬間であり、約10年にわたって実行してきた戦略の自然な延長線上にある」と評した。
取引の財務構造
Fox社はモルガン・スタンレーから現金部分(約142億ドル)の調達に向けて120億ドルのコミット済みブリッジファイナンスを確保している。コスト面では年間4億ドルの実施シナジーが見込まれるほか、追加の収益機会も期待されている。フリーキャッシュフロー(FCF)ベースでは2029年時点での株当たり増益(accretive)を目標とし、完了時点のプロフォーマ純負債倍率は約2.8倍を見込んでいる。
戦略的意義とコンテンツ・プラットフォーム統合
この買収の核心は、Foxが保有するスポーツ・ニュース・エンターテインメントのコンテンツ資産と無料広告支援型ストリーミングサービスTubiを、RokuのコネクテッドTV(CTV)プラットフォームおよびファーストパーティデータと組み合わせる点にある。Rokuは世界で1億世帯以上のストリーミング視聴世帯にリーチしており、米国ではブロードバンド世帯の半数以上をカバーしている。この統合により、合併会社は視聴シェアで米国第3位のテレビ事業者になると試算されている。広告ターゲティングの精度向上やCTV市場での競争力強化が主な狙いで、Foxにとってはコード・カット(有料ケーブルからの離脱)が進む視聴環境変化への対応策でもある。
Roku創業者の関与と今後の展望
Roku創業者兼CEOのアンソニー・ウッド氏は取引完了後も運営責任を持つ立場に留まり、Foxの取締役会にも参加する予定だ。同氏は「ビジョンを加速し、より迅速にスケールし、より積極的にイノベーションを起こす絶好の機会」と述べており、独立したブランドとして培ってきた技術開発の勢いを合併後も維持していく意向を示している。規制当局の審査を経て2027年前半に完了する見通しで、ストリーミング市場の競争地図を大きく塗り替える可能性がある。