ビジネス採用率でAnthropicがOpenAIを逆転
企業向け経費管理プラットフォームを手がけるRampが50,000社以上を対象に実施した調査で、AnthropicのAIサービスを採用した米国企業の割合が34.4%となり、OpenAIの32.3%を上回った。同指標でAnthropicがOpenAIを超えたのは今回が初めてとなる。VentureBeatが報じたデータでは採用率が41%にのぼるとされており、測定方法によって数値に差はあるものの、両データともにAnthropicの急伸を裏付けている。
Anthropicの成長速度は特筆に値する。約1年前に9%程度だった採用率が30%台へと急上昇した一方、OpenAIの利用率は低下傾向にあり、2026年2月には単月で1.5ポイント減という最大の落ち込みを記録した。また、初めてAIサービスを導入する企業の約70%でAnthropicがOpenAIよりも先に選ばれており、新規顧客の獲得競争でも優位に立っている。
成長を支えた戦略と測定データの限界
Rampのエコノミストによると、Anthropicは「技術志向の顧客層から導入を始め、実行の質にこだわり、その後Coworkなどのツールを通じて利用範囲を広げる」というアプローチで成長を加速させた。技術者層を起点にした口コミ拡散型の普及モデルが、エンタープライズへの浸透を後押ししたとみられる。
ただし、今回のデータにはいくつかの留意点がある。Rampのプラットフォームはクレジットカード経由の個別決済を追跡する仕組みであり、大規模なエンタープライズ契約や年間ライセンス契約は集計に含まれない。Googleが4.7%という低い数値にとどまっているのも、AI機能をクラウドサービスにバンドルして提供しているためで、実際の利用実態を過小評価している可能性がある。
リードを脅かす3つのリスク
Anthropicの首位は達成されたばかりだが、その持続性は楽観視できない。VentureBeatsの分析では、リードを侵食しうる主要なリスクとして次の3点が指摘されている。第一に、トークン課金モデルへの依存だ。利用量が増えるほどコストが増大する構造は、予算管理を重視する企業が採用をためらう要因になりうる。第二に、運用コストの上昇。大規模言語モデルの推論コストはいまだ高水準にあり、Anthropicにとって採算改善が急務となっている。第三に、OpenAIによる直接的な競争だ。OpenAIのCodexはClaude Codeと同様の作業をより低価格で提供しており、モデル間の乗り換えコストも小さいことから、Anthropicが積み上げた優位を切り崩しにかかっている。
短期間での急成長は、Anthropicの技術力とマーケティング戦略の成果を示すものだ。しかし、データ計測の限界やコスト構造、強力な競合の存在を踏まえると、このリードが長期的に維持されるかどうかは依然として不透明であり、次の四半期の動向が注目される。