概要

Oracleは2026年6月10日、FY2026第4四半期(2026年3月〜5月)および通年の決算を発表した。第4四半期の総売上高は前年同期比21%増の192億ドルとアナリスト予想(191億ドル)を上回り、非GAAPベースのEPSは2.11ドルと予想(1.95ドル)を8%以上超過した。なかでもクラウドインフラ(IaaS)売上は93%増の58億ドル、クラウド全体では47%増の99億ドルに達し、いずれも四半期ベースで過去最高を記録した。強い決算にもかかわらず、データセンター拡張に伴う利益率圧迫への懸念から株価は時間外取引で約3%下落し199.50ドルとなった。

通年では総売上が17%増の674億ドルと初めて670億ドルを突破し、クラウド売上は39%増の340億ドル(クラウドインフラ77%増の181億ドル、クラウドアプリ11%増の159億ドル)となった。営業キャッシュフローは54%増の320億ドルと大幅に改善した一方、積極的なデータセンター投資でフリーキャッシュフローはマイナス237億ドルとなっている。

AIインフラへの積極投資と記録的な受注残

決算の最大の注目点は、残存パフォーマンス義務(RPO)が前年比363%増の6,380億ドルに膨らんだことだ。このうち約750億ドルは顧客による自前ハードウェアの持ち込みまたは前払い契約分が占めており、AI向けインフラ需要の強さを鮮明に示している。第4四半期だけでAIインフラ契約を670億ドル締結した。

インフラ稼働面では、FY2026に1.2ギガワット以上のデータセンター容量を追加し、GPUの稼働率は97.5%という高水準を維持している。マルチクラウドデータベース収益は前年比404%増と急伸しており、AWSやAzureなどの競合クラウドとのパートナーシップが新たな成長源となっている。また、クラウドデータベース収益も29%増、SaaS繰延収益は16%増と、アプリケーション領域でも安定した成長が続いている。

経営陣のコメントとFY2027展望

新CFOのHilary Maxsonは、Oracleがテクノロジースタック全体にわたるユニークなポジションを強みとして強調した。インフラ責任者のClay Magouyrk氏は「AIのリーダーとなる多くの企業がいるが、我々の戦略はそのすべてを顧客にすること」とコメントし、特定のAIプロバイダーへの依存を避けた幅広い囲い込み戦略を明示した。アプリケーション部門のCEOであるMike Sicilaは1,000以上のAIエージェントをアプリケーション群に展開済みであることを明かした。

FY2027のガイダンスとして、第1四半期のクラウド売上成長率は57〜64%、総売上成長率は27〜29%を見込む。通年では総売上約900億ドル、非GAAP EPSは8.05ドル(前年比18%増)を目標とし、設備投資(CapEx)として純額で700億ドルの支出を計画している。AI需要の取り込みと大規模インフラ投資の継続が今後の業績を左右するカギとなる。