IPOロードショーと株価設定

SpaceXは2026年6月、Nasdaq上場(ティッカー:SPCX)に向けてIPOロードショーを正式に開始した。株価は1株135ドルの固定価格に設定され、公開株式数は5億5,560万株、調達額は最大750億ドル規模に上る見通しだ。この規模はアメリカ株式市場における大型IPOとして注目を集めており、イーロン・マスク率いるSpaceXの企業価値は上場を通じて改めて広く問われることになる。

ロードショーに先立ち、SpaceXは6月1日に修正S-1書類を米証券取引委員会(SEC)へ提出した。修正書類では、公開株式の5%を「特定の従業員および経営幹部の友人・家族」に予約する取り決めが明記された。この株式はロックアップ制限の対象外とされており、他の幹部と異なり上場直後から売却が可能となる。IPO価格の135ドルで計算すると、対象者は計37億5,000万ドル相当の株式購入権を得ることになる。

Tesla合併観測を呼ぶ修正S-1の一文

今回の修正書類で市場関係者が最も注目したのは、新たに追加された一文だ。「将来のトランザクション(取引)に関連して、相当額の株式を発行する可能性がある」という表現で、アナリストらはこの文言がSpaceXとTeslaの合併を示唆しているとの見方を強めている。Fortune誌の報道によれば、複数のアナリストが「通常のボイラープレート(定型文)として片付けるには意味が強すぎる」と指摘しており、実現すれば史上最大級の企業合併になり得るという観測もウォール街に広まっている。

マスク氏はSpaceXとTeslaの両社を率いており、両社の技術・インフラが相互補完的であるという見方は以前から存在した。今回の文言追加が具体的な合併計画の存在を示すものかどうか、SECへの開示や今後の発表が注目される。

Cursor買収計画と今後の展望

SpaceXはIPOに加え、AIコーディング支援ツールを提供する「Cursor」を60億ドルで買収する計画も既に明らかにしている。この買収が実行された場合、SpaceX株主は約3.5%の希薄化を受けることになる。Cursorはエンジニアリング生産性の向上を目的としたAIツールとして急速に普及しており、SpaceXがソフトウェア開発能力の強化を重要視していることをうかがわせる。

IPO後のSpaceXが宇宙事業・通信(Starlink)・AI投資・Tesla合併観測という複数の大きなテーマを同時に抱える中、Nasdaq上場は同社の新たな成長フェーズの幕開けとなる可能性がある。市場がこの史上有数のIPOをどう評価するかは、今後数週間で明らかになるだろう。