概要

Python 3.15.0 beta 2が2026年6月2日に公開された。計4回予定されているベータリリースの第2弾にあたり、正式リリースは2026年10月を予定している。本番環境での使用は推奨されておらず、現段階ではサードパーティライブラリの互換性確認やフィードバック収集を目的としたテストフェーズとなっている。次のベータ版(3.15.0b3)は2026年6月23日、リリース候補(RC)は2026年8月4日から開始予定だ。

JITコンパイラの強化

今回のリリースで最も注目される変更の一つがJITコンパイラの大幅なアップグレードだ。x86-64 Linuxで幾何平均8〜9%、AArch64 macOSでは12〜13%というパフォーマンス向上が報告されている。また、公式のWindows 64ビットバイナリでは「tail-calling interpreter」がデフォルトとなり、スタックフレーム数が削減されることで実行効率が改善された。

明示的な遅延インポート(PEP 810)

PEP 810の実装により、モジュールの読み込みを実際に必要になるタイミングまで遅延させる「明示的な遅延インポート」が導入された。大規模なアプリケーションでは起動時に多数の重いライブラリをインポートするケースが多く、これが起動時間の長さに直結していた。遅延インポートはこの問題に対応し、アプリケーションの初期起動を高速化する効果が期待できる。

その他の主要な新機能

フレームポインタのデフォルト有効化(PEP 831)により、デバッガやクラッシュレポーターがスタックトレースをより正確に取得できるようになる。さらに、サードパーティパッケージへの依存なしにイミュータブルな辞書を扱えるfrozendict組み込み型(PEP 814)とsentinel組み込み型(PEP 661)が追加された。エンコーディング面では、PEP 686によりUTF-8が全プラットフォームでデフォルトエンコーディングに統一され、ロケール依存のバグが削減される見込みだ。プロファイリング機能も強化されており、高周波統計サンプリングプロファイラ「Tachyon」が新たに追加された。

配布・セキュリティ対応

配布形式はmacOS、Windows(32/64ビット、ARM64)に加え、AndroidおよびiOS向けバイナリも提供される。すべてのファイルにはSigstoreによる署名とSBOM(ソフトウェア部品表)情報が付属しており、サプライチェーンセキュリティへの対応も強化されている。コード凍結が予定される2026年8月のRC開始前に、隔離環境での互換性テストが推奨されている。