概要
Snowflakeは2026年5月27日、Amazon Web Services(AWS)との多年にわたる戦略的協業契約を発表した。この契約の中核として、SnowflakeはAWS Gravitonコンピュートおよびに向けた5年間・60億ドルの投資コミットメントを表明した。これはSnowflakeの歴史上最大規模のクラウド支出契約であり、エンタープライズ向けエージェント型AI(Agentic AI)の本番導入を加速させることを目的としている。Snowflakeは同時に第1四半期の業績として前年比33%増となる13.9億ドルの売上高を達成しており、堅調な事業基盤を背景に大型投資に踏み切った形だ。
投資規模と市場背景
今回の60億ドルというコミットメントは、エンタープライズAI市場でのSnowflakeの地位確立を目指す大胆な賭けといえる。同社はAWS Marketplaceでの累計売上高がすでに70億ドルを超え、2025年カレンダー年だけで20億ドル以上の売上を達成するなど、AWS経由のビジネス拡大が著しい。グローバルで1万3,900社の顧客を持つSnowflakeは、AIのパイロット段階から本番稼働への移行という業界全体の課題に対し、インフラ整備と製品統合の両面から解決策を提示しようとしている。
技術的な詳細:Cortex AIとデータガバナンス
本協定の技術的な柱となるのが「Snowflake Cortex AI」だ。Cortex AIはSnowflake上のガバナンスされたエンタープライズデータに対して、データをセキュアな領域外に持ち出すことなく直接AI処理を実行できる。テキストからSQLへの変換、文書要約、感情分析、エンティティ抽出といった機能を備えており、AIの活用においてデータのセキュリティとコンプライアンスを担保するという企業ニーズに応えるアーキテクチャとなっている。Snowflake CEOのSridhar Ramaswamy氏は「AIは大きな期待を生んでいるが、企業にとっての真の課題と機会は、知能を行動に変えることだ」と述べ、ガバナンスされたデータにAIを直接適用することの重要性を強調した。AWS CEOのMatt Garman氏も「Snowflakeは初日からAWSの上に構築されてきた」と長年のパートナーシップを評価した。
展開拡大と今後の展望
今回の協定に伴い、Snowflakeはオークランド、ケープタウン、バンコク、AWS European Sovereign Cloudなど10の新規地域への展開も予定している。グローバル展開の加速により、地域ごとのデータ主権要件にも対応する構えだ。FetchやHexといった顧客事例でも、Snowflake on AWSを活用したAIアプリケーションのデプロイが進んでおり、エコシステムの実績積み上げが進んでいる。両社はSnowflake Summit 26においてエンタープライズAIに関する共同ビジョンをさらに具体的に示す予定であり、今後の製品統合の動向が注目される。